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一歩先にいく機能、パナソニック「DMR-BWT3100」を試す(前編)レビュー(2/3 ページ)

» 2010年10月20日 00時01分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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等速ダビング+2番組同時録画も可能、強化されたマルチタスク

 ユーザー層を問わず、その恩恵が大きいといえるのが、マルチタスク性の強化だ。従来は高速ダビング中の予約録画は可能だったが、録画は1番組のみに限られ、録画中にダビングを開始することができなかった。またダビングを開始できるのは、ほかに何も実行してないことが条件になっており、マルチタスクは実行する順番にも制限があった訳だ。

 本機ではまず、録画中でもダビングを開始することが可能になった。録画には内蔵チューナーからの録画以外にスカパー!HD録画、i.Link接続によるTSダビングも含まれる、さらに従来はマルチタスクが不可能だった1倍速ダビング(画質変換ダビング)中でも2番組同時録画が可能となったので、実行する順番も処理内容の組み合わせも大幅に自由度が増している。少なくとも内蔵チューナーによる録画とダビングの実行が重なることについて、ユーザーはほとんど考えずにすむようになった。この点はヘビーユーザーはもちろん、AV機器の扱いに慣れていない人へのメリットも大きい。「やっとここに到達してくれたか」と思う人も多いのではないだろうか。

photo 2番組同時録画中のスタートメニュー。写真の再生とネットワーク機能はマルチタスクの制限からグレーアウトして選択できなくなっているが、ダビングは選択できる。1倍速ダビングも可能だ

 一方、いくつかの例外もある。まずスカパー!HD録画中は高速ダビングしか行えない点と、SD解像度の画質モード(XP〜EP/FR)で録画しているときはダビングが行えない点だ。これは録画が優先されるという意味で、ダビングは制限されるものの、録画ミスは発生しない。スカパー!HD録画のヘビーユーザーを除けば、あまり困らないと思う。

 運用上、注意が必要になるのは、まず1倍速ダビング中はXP〜EP/FRモードでの予約録画とスカパーHDの予約録画が実行されないこと。光学メディアのファイナライズやフォーマット中、高速ダビングでもファイナライズを含む場合には予約録画が実行されないことの2点だ。スカパー!HD録画を多用する人や、(多くはないと思うが)XP〜EP/FRモードでの録画を利用する人は注意が必要といえる。

 また、これらの高度なマルチタスクを実現するため、必要に応じてMPEG-4/AVC録画を自動でDRモードに切り替え、後で指定されていた画質モードに自動変換する機能を備えている。例えばMPEG-4/AVC(画質モードHG〜HB)の録画とダビングを同時実行すると、録画は一時的にDRモードに切り替わり、録画が終了して電源をOFFにした後で自動変換が行われる。デコードやエンコードを行う「UniPhier」(ユニフィエ)の処理ストリーム数の制約だと思うが、とくにユーザーが介入する必要はなく全自動で行われるため、不便は感じないはずだ。あえて注意する点があるとすれば、HDDの空き容量。録画がDRモードに切り替わることで、予約録画が途中で途切れてしまう可能性はゼロではない。

MPEG-4/AVCでの録画中にダビングを開始すると、このようにメッセージが表示されて録画がDRモードに切り替わる(左)。MPEG-4/AVCでの2番組同時録画中の録画番組再生でも片方の録画番組が自動的にDRモードに切り替わるが、これは先代モデルでも同じ動作だ(右)
自動でDRモードでの録画に切り替わった番組は、録画番組一覧画面の右側に画質モード変換が表示されることで確認できる。もちろん変換前でも再生は行える

 ダビングを含まないマルチタスク動作という点では、ケーブルテレビのSTBなどをi.Link接続してTS録画(あるいはダビング)しているときでも内蔵チューナーとの2番組同時録画が可能になった。ケーブルテレビの場合、内蔵チューナーで録画するにはパススルーに対応している必要がある。地上デジタル放送はパススルーが既に主流になっているが、BSデジタル放送は2007年の省令改正でパススルーが可能になったこともあり、まだまだ非主流。ケーブルテレビ環境下での利便性は増したといえる。

 なお、これらのマルチタスク性強化が適用されているのは2010年秋冬モデルでもダブルチューナー搭載機(DMR-BWT/BW型番)のみで、シングルチューナーの「DMR-BR590」では従来通りである点には注意が必要だ。BD-R/REメディアからHDDへのムーブ、録画一覧などの新しいユーザーインタフェースには対応しているので、ハードウェアは旧製品ベースのままでソフトウェアのみを置き換えているのだろう。リプレースではなく追加購入だからシングルチューナーでと考えている人は、ちょっと注意が必要になる。

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