ビクター・JVCは、密閉型インナーイヤーヘッドフォンの新製品「HA-FXT90」を4月下旬に発売する。低音域用と中高域用に独立したダイナミックドライバーを持ち、並列に配置する構造は業界初という。価格はオープンプライスで、店頭では、1万円前後になる見込みだ。ボディーカラーにレッドをあしらった数量限定モデル「HA-FXT90LTD」も同時に発売する。
ビクターによると、HA-FXT90のターゲット層は「音にこだわりを持つ20代、30代の男性」。複数のイヤフォンを所有するようなコアなユーザー層に向け、密閉型インナーイヤータイプの中でも激戦区と言われる1万円前後の価格帯で正面から勝負をかける。
製品のコンセプトは明快だ。「ユーザーアンケートでは、“もっと音の迫力がほしい”、“ボーカルをもっとクリアに”といった要望が多い。低域と中高域の両立はユーザーの1つの理想形と考えた」(同社AVコミュニケーション統括部事業推進部商品企画グループの澤田孝氏)。
そこで同社は、複数のユニットを使用したスピーカーの構造に着目。もちろん従来のドライバーユニットを複数並べようとしてもサイズが大きくなって無理だが、「HA-FXCシリーズ」で採用した独自の「マイクロHDユニット」を使えば小型化が可能だった。メタル製のユニットベースに5.8ミリ径のマイクロHDユニットを並べ、それぞれを低域用と中高域用に最適化する方法を採用した。
中高音域再生用のユニットでは、業界初となるカーボンナノチューブを振動板に採用している。具体的には、PET素材のベースにカーボンナノチューブをウェットコーティングするという手法で、軽量かつ剛性の高い振動板ができたという。「当初はさまざまな金属振動板を探したが、適度な内部損失をもち、軽量で応答性の高い素材は見つからなかった。結晶構造がカーボンと異なるカーボンナノチューブは、アルミニウムの半分の軽さで鋼鉄の20倍という剛性を持つ。固有振動数が高いため、音の反応が早く、緻密(ちみつ)で繊細な音表現が可能になった」(同氏)。
一方の低域用ドライバーには、剛性の高いカーボン振動板を採用。2つのドライバーをメタル製のベースで一体化し、さらにハウジングにも金属素材を用いて不要な振動を抑えた。ネットワークは内蔵しておらず、2Wayとは言えないものの、「2つのドライバーの音を重ねることで、厚み感のあり、高密度な音を再生できるようになった」と話している。
ケーブルは約1.2メートルのY型コードで、長さを調節できるコードキーパーが付属する。タッチノイズやコードのぶらつきを抑えるクリップ、ヘッドフォンを携帯する際に便利なキャリングケースも付属する。
そのほかの主な仕様は下表の通り。
型番 | HA-FXT90 | HA-FXT90LTD |
---|---|---|
カラー | ブラック | レッド(限定モデル) |
型式 | ダイナミック型 | |
出力音圧レベル | 107dB/1mW | |
再生周波数帯域 | 8〜2万5000Hz | |
インピーダンス | 12オーム | |
最大許容入力 | 150ミリワット | |
コード | 1.2メートル(Y型)、3.5ミリステレオミニプラグ(24金メッキ | |
重量 | 約6.8グラム(コード含まず) | |
付属品 | シリコンイヤーピース(S、M、L、各2個)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース | |
価格 | オープンプライス(実売1万円前後) | |
発売時期 | 4月下旬 | |
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