ファイナルオーディオデザインより、ホーン型ドライバーの仕組みを応用して作られた独自設計の16ミリダイナミック型振動板と、金属削り出しの筺体(きょうたい)を持つ高級イヤフォン「Piano Forte」シリーズ3製品が発売された。
「Piano Forte」シリーズといえば、先にデビューしたエントリーモデル「Piano Forte II」の印象が強いが、実は「FI-DC1601」シリーズという先代モデルが存在し、今回より「Piano Forte」としてシリーズ名が統一されるようになったもの。そのため3モデルの差も前モデル同様に筐体の金属素材が主で、Piano Forte VIIIは真鍮、IXはステンレス合金、X-CCはクロム銅合金がチョイスされている。金属の音響特性に合わせて最適なチューニングが施されているものの、振動板やケーブル、筐体デザインなどはすべて同一だ。
先代から大きく変わったのが、金属から削り出して作られる筐体のデザインだ。振動板の背面が円柱形だった先代に対し、新モデルでは円錐形のデザインを採用、音質と装着性の両面を改善させている。また先代ではイヤーパッド部を金属からシリコンへと交換することができたが、新モデルでは割り切りよく本体一体型の金属製のみとなった。
金属製の筐体は、実際にそれほど重量があるわけではないものの、金属ならではの密度感の高さもあってか、手に持つとずっしりした重量を感じる。その重みと、イヤーパッドなしのおおらかな装着方式から、「聴いているうちにポロッと落ちてしまうのでは」と最初は心配したが、筐体デザインの変更が効力を発揮しているのだろう、装着時の座りはよく、実際屋外での試聴時でも落ちてしまうことはなかった。ただし、今回のモデルからイヤーパッドが交換できなくなったため、女性など耳穴の小さい人では収まりが悪い可能性はある。購入前には実際に着用してみる必要がありそうだ。
また実際の装着方式も、イヤーパッドを「耳穴に入れる」というよりも「耳穴の入り口に置く」といった印象のデザインを採用しているため、構造上どうしても多少の音漏れが発生する。しかしこれはファイナルオーディオデザインが、音質向上のためにワザとそうした作りにしたためで、実は「Piano Forte II」でも採用されているスタイル。盛大な音漏れではないため屋外での使用も可能だが、満員電車などでは使用を控えた方が賢明だろう。基本的には室内用と考えた方が良さそうだ。
ケーブルは絡みにくく、使い勝手は上々。交換式でないことと、筐体の重さに対してかなり細めであることに多少の心配を抱くが、ケーブル断線に関しては3年間の保証をしてくれるという。高価な商品ならではのサポートといえる。
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