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三菱初の3D対応プロジェクター「LVP-HC9000D」の実力を探るレビュー(1/3 ページ)

» 2011年05月18日 13時49分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 フラットテレビに遅れること1年半あまり。昨年、ホームシアターに使われる映像機器である液晶プロジェクターにも3D化の波が訪れた。まずはソニーがいち早く発売にこぎ着け、それにJVCが続いたが、年をまたいだ2011年には、三菱からも3D対応機がデビューした。それが「LVP-HC9000D」である。

「LVP-HC9000D」。写真の「ミッドナイトブラック」のほかに「プレミアムホワイト」が用意されている。価格はいずれもオープンプライス

 LVP-HC9000Dのスペックを見ると、さまざまな新技術が盛り込まれていることに気付くが、なかでも注目は液晶パネルだろう。LVP-HC900Dには、これまで三菱が採用してきた透過型液晶やDLP方式とは異なり、SXRD方式が採用されているのだ。

 SXRD方式といえば、ソニーが中〜上級プロジェクターで使っている、反射型液晶パネルの名称である。動画に強い、黒浮きがほとんどないなどのメリットを持つが、対して一般的な透過型液晶パネルに比べると高価なシステムになってしまうことが欠点といえる。JVCのプロジェクターが採用するD-ILA方式も、基本はこれと同じ反射型だが、あえて「SXRD」の名前を挙げているため、ソニー製パネルが採用されていることが分かる。ちなみにLVP-HC9000Dの発売によって、三菱製のホームシアター用プロジェクターは、透過型液晶パネルを採用する「LVP-HC7000」と、DLP方式のパネルを採用する「LVP-HC4000」を合わせて、計3モデルのラインアップとなった。

 SXRDパネルに話を戻そう。こちらは3D対応の技術として、240Hzの動作スピード、いわゆる4倍速表示に対応している。Blu-ray 3Dに採用されているフレームシーケンシャル方式は、120Hz(2倍速)で動作し、左右の映像を1秒間60コマずつ表示するのだが、残像によるクロストーク(2重写し)を低減するためにLVP-HC9000Dでは240kHz動作を採用した。もちろんフレームシーケンシャル方式に加え、TV放送で使われているサイド・バイ・サイド方式やトップ・アンド・ボトム方式にも対応。方式の違いを意識することなく、さまざまな3Dコンテンツを楽しむことができるようにもなっている。

新デザインの482×530×215ミリとかなり大型。重さも14.5キログラムほどある。レンズはセンターに位置しているのはうれしい。レンズカバーはキャップ式となる。価格が価格だけに電動開閉式を採用してほしかったところだ

 このほかにも、LVP-HC9000Dには新採用の技術が満載だ。パネルの次に要といえるレンズには、ED(超低分散)レンズを含む6群17枚構成の1.8倍ズームレンズを搭載。フォーカス感を向上させるとともに、色収差やにじみを極限まで低減している。また緑の純度を上げるシネマフィルター機能も搭載。グリーンとシアンの色域を拡大し、映画ならではのフィルム的なテイストも再現するという。

 映像エンジンには、IDT(旧シリコンオプティクス)製プロセッサーを採用。TV放送をIP変換や、DVDビデオ映像のアップスケールを高精度に行う。また2D映像においては、120Hzの動作を行い映像の補完するほか、TV放送された映画をもとの24コマに変換、さらに映像を補完して120Hz再生する「トゥルーフィルムモード」なども用意されている。

 それでは、さっそく設置性を含むユーザビリティーから検証していこう。

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