さて、肝心の映像チェックを行っていこう。まずは2Dコンテンツから。
同じSXRD方式のパネルを持つソニー「VPL-VW90ES」とついつい比較してしまったが、その映像は全くといっていいほど異なるテイストを持ち合わせていた。中間調の色乗りが良かったVPL-VW90ESに対して、LVP-HC9000DはSXRDならではの黒の沈み込みを上手く活用、全体的に締まりのある映像を楽しませてくれる。とはいっても、決して画面全体が暗いわけではない。確かに真近辺のあきらめは早いものの、黒が黒としてきれいに描かれているので、中間色の階調の細やかさがかえって生かされている印象となっている。ホワイト側のピークもよりきらびやかとなるため、BD「300」などでは武器の鈍い輝きが一段と印象的な美しい映像を楽しませてくれた。映画は全般的に得意なジャンルといっていいだろう。
いっぽうで、スポーツ中継やバラエティ番組などのビデオ的な映像では、独特の個性がより強調されるようになる。何でも映画調になってしまうというか、ドキュメント番組でも見ているかのようで、これはこれで面白い。デフォルトで用意されているモードをいくつか試したが、どれもニュアンス的には近く、テレビ的なさわやか映像で楽しみたいという人は、自分でカスタムする必要がありそうだ。
動画性能に関しても良好さを見せた。自慢の「トゥルーフィルムモード」はなかなかの効果を見せたが、さすがにBD「WALL-E」の冒頭では早いカメラのパーンに追従しきれず途中ではたんをきたしてしまうが、ほとんどのフラットディスプレイで良好な結果を得られないハードな映像にもかかわらず、プロジェクターとしてはなかなかの粘りを見せてくれたといっていいだろう。
最後に3D映像をチェックする。
何にも増して素晴らしいのは、画面の明るさだ。SXRD方式と聞いて少々心配をしたものの、後発のアドバンテージなのだろうか、明るさに関しての不満はほとんどない。明るい画面とはいわないが、3Dサングラスをかけた状態でも、映像を楽しむ上でマイナスポイントとはならない光量をしっかり確保していた。この点に関してはなかなかだといえる。またクロストークに関しても、ほとんど感じることはなかった。3D映像に関しては、なかなかのクオリティーを確保できているといえるだろう。
何にも増して、大画面で3D映像映像を楽しめること自体が素晴らしいこと。それを推奨はすれども、否定をするつもりはいっさいない。視界一般に拡がる3D映像を、家庭で楽しめるというエンターテイメント性だけを挙げても、LVP-HC9000Dは充分に価値のある製品といえるだろう。さらに映画好きの人にとっては、2D映像も十分に魅力ある製品だといえる。
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