最近、オーディオファンの間で「PCオーディオ」「ネットワークオーディオ」といった言葉が流行している。手持ちのCDをリッピングしてライブラリ化したり、パッケージメディアより高音質の音楽配信サービスを利用して好みの音楽ファイルを入手してPCやネットワークプレーヤーで再生する。実践したみたいと考えているオーディオファンも多いのではないだろうか。今回は、最新刊「高音質保証!麻倉式PCオーディオ」(アスキー新書から8月10日発売予定、780円)を書き上げたばかりの麻倉怜士氏に、最近のオーディオのトレンドやPCオーディオのTipsを語ってもらった。
――8月に最新刊が出るそうですが、最近多いですね
麻倉氏:そうですね。昨年末に日経BP社から「パナソニックの3D大戦略」、3月10日にはアスキー・メディアワークスから3Dの最新事情をまとめた「素晴らしき3Dの世界」が刊行されました。今回の「高音質保証!麻倉式PCオーディオ」は、初心者からオーディオファンまでを対象に、PCオーディオの世界を紹介する内容で、わたしとしては25冊めの書籍になります。電子書籍でも、かつての「「ソニーの革命児」を出そうという計画が今、進んでいます。具体的になったらお知らせしますね。
――なぜPCオーディオの本を出そうと考えたのですか?
麻倉氏:PCオーディオやネットワークオーディオと言われる音楽の楽しみ方は、オーディオの新しい流れとして人気が出てきています。わたしは月に2回ほど、ビックカメラの店内でイベントをしているのですが、テーマが“PCオーディオ”になるとすごく人が入るのです。何か、新しいトレンドが確実に来たようです。
参加者の多くは、30代から40代のビジネスマンです。Windows 95登場のころに仕事に就き、当時多く刊行されていたPC雑誌を読んで勉強してきた彼らが、再び“お勉強モード”になっているような気がします。これまでは純粋に仕事のためにPCを使ってきましたが、自分の趣味にもPCを生かせると知り、PCオーディオを実践してみたいと考えたのではないでしょうか。イベントを通じて、そうした雰囲気を肌で感じています。
であれば、私自身も初心者の立場で、PCオーディオを丁寧に紹介することがいま必要なのでは、という思いで執筆したのが「麻倉式PCオーディオ」です。
Windows 95が登場したころ、音楽の主要媒体はCDでした。2000年以降、その市場は急速にしぼんで「着うた」のような手軽な音楽配信サービスが伸びてきました。主にCDシングルの需要がそれに流れてしまいましたね。
しかし最近では、CD以上の音源、つまりCDを超えるサンプリング周波数と量子化ビット数を持つ音楽データがネットワーク配信サービスなどで手軽に入手できるようになりました。いわゆるハイレゾリューション音源ですが、これをPCにダウンロードしていけば、HDDが自分のハイレゾ音楽データベースになって好きなときに楽しめる。そうした高音質の世界が注目を集めているのだと考えています。
書籍の前文にも書きましたが、PC由来の音楽というと、これまでの常識では「音が悪い」でした。しかし、実にPCはこれまでのオーディオを大きくしのぐ可能性を持つ究極のオーディオ機器といってもいいでしょう。でも「音楽から感動を得る」ためには、単に音を出すだけではまったく不十分というのも、この新しいオーディオの特有の性質なのです。PCは「まったくオーディオのことを考えずに作られたオーディオ機器」です。普通のオーディオ機器ならば部品、配置、配線、筐体などであちこち音質対策が施されるのですが、PCは何も対策されていません。音質的には裸の状態なのです。
高音質保証!麻倉式PCオーディオ(アスキー新書) | |
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第1章 | とっても楽しいパソコン&ネットオーディオ入門 |
第2章 | 最高の音でCDリッピングするノウハウ |
第3章 | 最高の音質でパソコン再生する秘術 |
第4章 | 聴いて選んだベストなUSB・DAC |
第5章 | LINNが拓いたネットワークオーディオの高音質世界 |
第6章 | 高音質で聴くためのパソコンオーディオ使いこなし術 |
第7章 | 高音質音楽を配信で手に入れよう |
第8章 | パソコン&ネットオーディオを活かすコンポーネントシステム提案 |
ということは前向きに考えると、オーディオ的な、そしてソフトウェア的な工夫を与えれば与えるほど、音質向上の可能性は高いということですね。今回の書籍では、高音質化のノウハウを軸にPC&ネットオーディオの楽しみを具体的に説きます。
――似たようなものにネットワークオーディオがありますね。PCオーディオとの違いは、どのように定義されているのでしょうか
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