電子番組表「G-guide」の運営会社として知られるRovi(ロヴィ)が、iPad専用アプリ「Gガイド」を発表した。手元のタブレットを2つめのスクリーンにすることで、テレビの視聴をじゃますることなく、番組表や関連情報を入手できる。iPadならではの操作性も加えたというGガイドアプリについて、詳しい話を聞いた。
iPad版「Gガイド」は地上デジタル放送とBSデジタル放送をカバーする電子番組表アプリ。基本的には8日分の番組データを持つが、一部放送局については「特集番組」機能を使って1カ月先までの情報も参照できる(後述)。アプリの価格は、通常価格が250円。2011年10月31日までキャンペーンとして85円で販売する。
アプリのGガイドを起動すると、横軸に放送局、縦軸に時間というオーソドックスなラテ欄タイプ(ラジオ・テレビ欄)が現れる。黒いバックと白抜き文字を使ったシックな画面が印象的だ。「デザインは、ジェムスター時代からユーザーインタフェースの開発を手がけてきた米国のデザイン部隊に頼みました。米国は他民族国家であり、さまざまな人に分かりやすい画面を作ることが得意。黒バックに白ぬき文字で、認識しやすく、目が疲れにくくなっています」(Rovi)。
iPadならではといえる操作性も意識した。例えばNHKなどは放送時間が1分しかない番組なども放送しており、従来のEPGではすべてを1つの画面で見せることはできなかったが、iPad版なら番組表を二本指で広げるだけで当該部分が伸び、細かい番組がすべて表示される。また番組表の下には、各局のアイコンが並ぶ「チャンネルファインダー」が用意され、目的の放送局をタップすれば、即座に表示が切り替わる。番組表の地域設定を4つまで設定可能で、ワンタッチで切り替えられる点もテレビやレコーダーにない機能だ。
データベースと連携した目新しいサービスもある。例えば、気になる番組をタップすると詳細情報が表示されるのはテレビやレコーダーのG-Guideと変わらないが、ここで出演者の名前を選択すると、今後1週間で出演する番組の一覧やプロフィールが参照できる。
「出演者の写真は、日本タレント名鑑からライセンスを受けたもので、プロフィール欄では生年月日や出身地など簡単なプロフィールも参照できます。さらに人物名を“お気に入り”にブックマークしておくことができます。番組は1カ月に約2500番組ほどありますが、登録しておけば、いつでも出演番組がチェックできます」
放送番組は、従来のGガイドと同様、「国内ドラマ」「海外ドラマ」といったジャンルに加え、任意のキーワードで検索することができる。検索の処理はサーバ側で行うため、結果が素早く表示されるのが特長。もちろん検索結果から番組の詳細情報に移動することもできる。
パナソニックの「DIGA」や「VIERA」に採用されている「注目番組」と「特集番組」の機能も搭載。通常の番組表は8日分の情報しか持たないが、特集番組では対応する放送局は限られるものの、1カ月以上先の番組や特集もチェックできる。例えばWOWOWについては最大45日先までの情報を持っており、特集などはイメージ付きで紹介される。「現在、特集番組で参照できるのは、NHKとWOWOWのみですが、今後もう1局追加する予定です」。
Gガイドといえば、番組表に広告が入ることでも知られているが、iPad版にも広告領域は用意されている。「ユーザーが開け閉めできるウインドウを画面上方に用意しました。画像付きで3つまで横に並ぶ仕組みで、主に放送局のイチオシ番組の広告を入れることを想定しています」。レコーダーなどに採用されたGガイドと異なり、番組表の一覧性を広告が阻害することはない。また、今後はバナーのような横長の広告イメージや、動画にすることも検討中。「番宣ならトレーラー(予告編)のように使えます」。
広告が入るのなら無料で提供してほしいと感じる人もいるかもしれないが、EPGのように継続的なサービスが必要になるアプリを無料化することは難しい。「通常のアプリと違うのは、データ更新が必要ということ。また、アプリ自体は無料にできたとしても、そこに配信するコンテンツは違います。現実問題としてランニング費用は広告モデルでまかなうことになりますが、(無料にできない点は)ジレンマですね」。
Roviは、iPad版Gガイドを2つのビジネスモデルで事業化しようとしている。1つはiPadユーザーにアプリを販売するB to C、もう1つはテレビやBlu-ray Discレコーダーのメーカーにライセンスすることだ。実は8月上旬に発表された日立コンシューマエレクトロニクスの“Wooo”シリーズに採用されている。
一般販売用のiPad用「Gガイド」はテレビやレコーダーとの連携機能を持たないが、日立がカスタマイズしたアプリ「Wooo Remote for iPad」では、同一ネットワークにあるテレビに対して番組表から録画予約が行えたり、録画番組の一覧画面をiPadに表示して再生指示を出すといった連携が可能になっている。
このようなAV機器との連携を市販アプリで対応する予定はないが、いくつか追加機能の検討も進めているという。例えば、GPSを使ってユーザーのいる場所を特定し、該当する地域の番組表を自動的に表示する機能など。岩永氏は、「全国の番組表データを網羅しているため、さまざまな展開が考えられる」としており、今後の展開にも期待が持てそうだ。
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