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着実に進歩する各社のスマートテレビ戦略(2)IFA 2011(3/4 ページ)

» 2011年09月07日 15時54分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

モーションセンサーを搭載したリモコンがユニークなLG

 LGのブースでは、3Dをあらゆる製品ラインに持ち込む戦略を大々的にアピールしていた。リビングTVのほか、PCモニター、そしてスマートフォンやタブレットまで、あらゆるデバイスで3D映像を撮影し、それを裸眼または3Dメガネを使って見られる。ブース入り口ではすべての来場者に3Dメガネを配布し、館内の3D展示を楽しんでほしいという趣向だ。そして3Dとともにアピールされていたのがスマートテレビ製品の数々で、同社の今年のIFAでのテーマはこの3Dとスマートテレビの2つとなる。

 スマートフォンやタブレットとの連携では、コンテンツの共有機能とともに、これらデバイスで撮影された3D映像をストレージに記録し、大画面の3D TVで見られるといったコンテンツ連携をアピールしていた。このほかネットワーク接続機能を使ってのソーシャルネットワークやWebサーフィン、オンラインコンテンツの利用、アプリによる拡張など、その多くは競合他社のそれに近い。だがその中で1つユニークだと思ったのが、同社のスマートテレビ向けリモコンだ。

LGのスマートTVはリモコンが面白い。一見すると普通のリモコンなのだが、本体がモーションセンサーになっており、その傾き検出で画面上に出現したポインタを操作することが可能だ。これにより、通常のPCブラウザ向けコンテンツを開いても、「マウスオーバーによるメニュー表示」「ドラッグ&ドロップ」といったマウス特有の操作が再現できる

 他社の多くがタブレットなどのタッチスクリーン操作にユーザーインタフェースの主眼を置いているところ、LGのリモコンではモーションセンサーによる傾き検出でカーソルを操作するUIを採用している。遮へい物があっても動作するため、おそらく加速度センサーとジャイロスコープを組み合わせたモーションセンサーのデータを無線でTVに向けて送信しているのだろう。リモコンの傾きをほぼダイレクトにTVに伝え、画面上に出現したカーソルを操作できるようになっている。

 もちろん、リモコンの十字キーを使っての操作も可能だが、Webサーフィンや多数の項目のあるメニュー画面など、十字キー操作では煩わしい。また「カーソル+クリック」という操作体系により、Webサーフィン中にカーソルを画面に重ねると追加メニューが出現したり、ドラッグ&ドロップに近い操作が可能になるなど、タッチパネルのUIでは実現できないような仕組みも備えている。マウスやジョイスティックを使わずとも、リモコンを握っているだけでTV上でPCライクな操作が可能だ。

同社のスマートTVもまた、アプリで機能拡張を行う点は他社と同様だ。やはりソーシャルネットワークやコンテンツ閲覧用アプリがその中心となっている(左、中)。PCとのWi-Fi連携でコンテンツ共有が可能(右)

 UIという点では、このほかタッチペンを使ったディスプレイも展示されていた。プラズマTVにタッチ認識が可能な仕組みを搭載しており、お絵描きアプリやゲームなど、さまざまなデモが披露されていた。一般家庭向けの製品ではない(おそらく公共施設などの人が集まる場所での利用が想定されている)といった理由もあり、アプリは提供されているものの、いわゆるスマートテレビのカテゴリとは異なる製品とみられる。だがLGブースは全体にUIに対するアプローチが面白く、スマートテレビ普及を考えるうえでのヒントが垣間見えた気がする。

いわゆるスマートTVとは趣が異なるが、ここで展示されていた「Pentouch TV」が面白かった。タッチペン認識が可能なプラズマTVとのことだが、これを使ってお絵描きをしたり、ゲームアプリを楽しめたりと、スマートTV特有の操作性の問題をタッチ操作でカバーする仕組みといえるかもしれない

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