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全文公開! 賢いテレビって、どんなもの?(後編)「ITmedia スマートテレビ研究所」第一回シンポジウム(4/6 ページ)

» 2011年09月08日 14時29分 公開
[ITmedia]

いとう やっぱり、人それぞれ、今、多様化しているんで、欲しい機能って本当、人それぞれだと思うんですよ。だから、そういった意味で、その中で集まった情報で、これはいいだろうと思うもののね、その支持が多ければ、それをアプリケーションとして開発していくこともできるし。今、スマートフォンって一般の方がどんどん新しいものをアプリケーションとして開発されるじゃないですか。そういった意味では、テレビの世界も、企業側だけじゃなくて、ほかの人たちも開発して、それを取り込めるようなことにしておくというのも、もしかしたらありなのかもしれないと思いますね。

乙武 松村さんは、このスマートテレビというものが普及してきたときに、僕らのライフスタイルはどのように変化すると思われますか。

松村 僕自身は、2年くらい前に14型のアナログテレビから、42型くらいに買い換えたんですけど、そのときにすごく感動しまして、とにかく14型からですから、全部世界が違うわけですよ。それはさすがに感動して、いろんなものを見まくっていたんですけど、じゃあ、今、そういう感動みたいなものって、映像体験としての感動が、今までの地デジのテレビからスマートテレビに行ったときにあるのかどうか、ということろは、1つ考えていかないといけないところなんじゃないかと思うんですね。

 あと、さっき麻倉先生がおっしゃったコンシェルジュのサービスなんですけど、(僕の場合)ハードディスクとかにも録画できるので、どんどん録画していったんですよ。そうしたら、いつの間にか、その僕のすごく美しい映像を映しだしてくれるテレビは、さまぁ〜ずさんばかり出てきたんですよ。それしか見ていないんですね。さまぁ〜ずさんが好きだから、そればっかり録画していたら、さまぁ〜ずさんを映さなくていいというわけじゃないんですけど、せっかくその美しいテレビをさまぁ〜ずさんだけが占めてくれているんですよ。僕からするとすごくありがたい事ではあるんですけど、ただ、じゃあ本当にそれでいいのか、という問題が恐らく出てきてしまっていて。

美しいテレビをさまぁ〜ずさんが占領?【1時間11分30秒前後〜】

 だから、テレビ放送なんかでやるような映画ももちろんですけども、ソーシャルメディアとかで他の友人が見ている映画があるのかどうか、あるいは場所は離れていたとしても、最近出てきたSNSでは、映像を見ながら自分たちもビデオチャットができる。調度、テレビのワイプを抜かれているような感覚で、見ている様子の人たちを見ながら、1つの同じコンテンツを同時に見る、みたいな楽しみ方っていうものあるかもしれないですし。

 あと、先程、ネットとどうやってからむかという部分も、最近、テレビに出たことって検索の急上昇ワードに出てくるじゃないですか。ただ、意外とテレビとネットというのは、すごく連動しているんですね。では、それをどうやってテレビの側でも楽しむかということだったり、それをどうやってユーザーさんが「我々が見たいコンテンツをもっと作ってくださいよ」って制作のテレビ局さんに伝えるか、というような、そこの部分がもうちょっと研究されていく必要があるんじゃないかと思っているので、もちろん、テレビ自体、メーカーさんにすごくいいテレビを作っていただくということはそうなんですけど、それだけではなくて、そのテレビを生かしたものを、どうやって視聴者側から提案していくか、というところはすごく大事になってきているんじゃないかと思うんですよね。

麻倉 ベンチャーのね、名前を言うと、「スパイダー」というのがあるんですけど、全部撮れるんですよ。単にそういうんじゃなくて、ネットと連携して、ネットでの1つの傾向、例えばトップ10だとか、よく出てきたキーワードとか、それを当てはめて、「それはこの番組だよ」ってことを見せてくれるんですね。さっき、見逃し番組みたいなこともいいましたけど、見逃し番組のローカル版みたいなものをやって、「これから何を見るんですか」「今、何を見ているんですか」それから、「終わったやつだけど、何を見ますか」みたいな、この時間軸を超えたところで色んな番組にアクセスできて、しかも、番組のあのところ、みたいなところにアクセスできれば、それはすごく新しいベネフィットだと思いますね。

乙武 さ、ここでTwitterやニコ生からもいっぱいご意見をお寄せいただいていますので、いくつかご紹介できればと思います。まずはTwitterの方ですね。「音声入力みたいなインプット部分が改善しないと、テレビでインターネットを使いたいとは思わないんじゃないかな、一般的には」というご意見なんですけれども、どうでしょうか。インプットというと、打ち込むのに難儀する部分がある、というご意見だと思うんですが。それに似ていると思うのは、「リモコンじゃなくて、キーボードが付属した方が、一気に変わっていくんじゃないか」というようなご意見もありますね。そうすると、やっぱりテレビじゃなくなってきちゃう、みたいなところがあるかもしれないですけど、まあ、でもたぶん、2つの意見に共通するのは、「何かコメントしたり発信したりするときに、もうちょっとそれが便利になるといいな」いうご意見なのかなと思います。

 それから、「同じ居間で見ていて、自分はすごい真剣に見たいのに、家族がごちゃごちゃ言うのが嫌」「同じ空間で快適にいる方法」。(一同笑)これはスマートテレビの問題というより、家族関係の問題かなという気もしますが。そして、ニコ生の方からもいただいております。「マルチアングル放送って?」ということなんですけど、これはどういうことなんですか?

麻倉 例えば、先程も言いましたけど、野球放送って、普通だいたい、外野から撮って、ピッチャーがいてキャッチャーがいてという、だいたいそうですよね。でも「投手がどんな顔しているのか」って思いますよね。そういうときに、放送局で、基本的に放送局っていうのはマルチカメラをスイッチしているわけですから、それを全部ストリームで出しますよ、という実験がされているんですね。ただ、実験にとどまっていたんですけど、この前NHKさんの技研に行ったら、「ハイブリッドキャスト」ってことで、それが一応提案されていまして、つまり、放送と同時に、リッチなネットワークで同じくらいの中身を送りますよという。で、その中ではマルチの映像がたくさん、というような、そういうような仕組みです。

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