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ウォークマン史上最高音質は本当か!? 「A860」と「X1000」をガチ比較野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2011年10月13日 12時55分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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すがすがしい響きのよいサウンド

 結論を先にいおう。「A860」シリーズは「X1000」シリーズに完全勝利とはいわないが、そのクオリティーは肉薄しており、項目によっては有利な部分も見られる。とくに優れているのが、SN感、そしてダイナミックレンジの幅広さだ。おかげで音のピュア度が上がり、すがすがしい、響きのよいサウンドとなった。

 一方で、「X1000」シリーズに追いつけなかった面もある。それはダイナミックレンジの階調表現と、音のキレの良さだ。例えばハルカリの「今夜はブギーバック」を聴くと、バスドラとベース音のユニゾンによる絶妙なグループ感は「X1000」シリーズのほうが優れているし、キーボードやギターなどは音の揺るぎなさというか、存在感が違う。「A860」シリーズはいい意味でも悪い意味でもポップで軽い音楽なのだ。

 これはもしかすると、チューニングだけでなく筐体の作りなどが関係しているのかもしれない。かけられるコストが違うだけに、こういった「詰め」の部分に違いが生じてしまうのは、いたし方のないことだろう。

ステレオサウンドのセパレート感を向上させる「クリアステレオ」や力強く引き締まった重低音をもたらす「クリアベース」など、多彩な音響機能を搭載

 とはいえ、いままでのAシリーズは別物のサウンドクオリティーを獲得しているのも事実。先のSN感、ダイナミックレンジの幅広さはもとより、解像度の細やかさに関してもまるで別物。そこそこ音がいいと思っていたA850シリーズが、A860シリーズの後に聴くとノイジーで荒々しい音に聴こえてしまうから不思議だ。まるで1クラスも2クラスも違うシリーズを比較してしまったかのように感じるのだ。

 タッチパネルの採用といい、音声信号の出力プロセスを一新してノイズとひずみをさらに押さえ込んだフルデジタルアンプ「S-Master MX」の搭載といい、「A860」は、明らかに「X1000」の後継を目指して作り上げられた存在だと思える。そして、それだけのサウンドを持ち合わせているのも確かだ。

 さらにいえば、タッチパネルのスピーディーな動作や音質調整の多彩さ、歌詞表示やBluetooth対応など、利便性や使い勝手の良さに関しては数段上まわっている。それが(X1000シリーズの)半額近いコストで入手できることを大いに喜ぶべきだろう。

音楽と一緒に歌詞も楽しめる「歌詞ピタ」も歌詞を自動でスクロール表示するようになった(左)。付属イヤフォンは13ミリドライバーを搭載するノイズキャンセリングタイプ(右)

 現在「X1000」シリーズを使用している人に買い換えをすすめることはないが、これからプレミアム価格のついたデッドストックを探し出して買うくらいなら、この「A860」シリーズをチョイスする方が賢い選択だろう。それだけの高い実力を持ち合わせた秀作である。

音質評価  
解像度感 (粗い−−−−○きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−−○フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−○−質感重視)

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