「2012 International CES」開幕を前に東芝が日本の報道関係者に向けた説明会を開催し、今後の戦略を説明した。東芝上席執行役常務 デジタルプロダクツ&サービス社の大角正明社長は、「今年のテーマはタブレット」と話し、テレビなどのデジタル家電とタブレットの組み合わせによるサービスの強化を進め、スマートホームの実現を目指していく意向を示した。
大角氏はまず、2011年の液晶テレビ市場について振り返った。国内ではアナログ停波前の駆け込み需要の反動と価格の低下が重なって厳しい状況だったが、海外に目を転じれば各国の事情に合わせた「ローカルフィット」戦略が功を奏し、グローバルの販売台数では118%と伸長したという。北米市場でも、テレビ販売台数、PC販売台数がともに好調。2012年度にはPCで30%、テレビで10%のシェアを目指す。
東芝が成長戦略の軸と考えているのは、「スマートホーム」だ。普及が見込まれる太陽光発電やEV(電気自動車)、デジタル家電などがHEMS(home energy management system:省エネ管理)ネットワークで連携し、さらにクラウドサービスを介して外部と接続。電気料金の“見える化”やホームセキュリティ、ヘルスケアなど、利便性の高いさまざまなサービスを利用できるようになる。
東芝は米国において、HEMSやクラウド連携で費電力をリモート管理する「スマートメーター」、家庭用ゲートウェイ「ライフデザインボックス」などを提供してスマートホーム事業を構築する。その後、EVや新エネルギー機器のマネジメントも可能にするほか、ホームセキュリティ、ホームヘルスケア、エンターテインメントなどを統合していき、最終的にスマートコミュニティーと連携した統合型クラウドサービスを2015年にも実現したい考え。米国のスマートホーム市場は、2015年に500億円に達すると予想しており、そのうちシェア20%、100億円の売上を目指している。
その際、家庭内のインタフェースとなるのが「テレビ、PC、タブレット」の3つであり、中でもさまざまな情報を手軽に入手できるタブレットはスマートホームで重要な役割を果たすという。大角氏は、「これまでCESでは大型のテレビの発表が中心だったが、今回の最大のテーマはタブレット」とし、すでに日本で発売済みの10.1インチサイズに加え、5.1インチ、7.7インチ、13.3インチの3製品を披露した。
7.7インチモデルは、このサイズとしては初の有機ELディスプレイ採用モデルとなる。重量は350グラム以下、厚みも8ミリを切る薄型軽量モデルになる見通しで、2012年中の発売を計画しているという。
一方、13.3インチモデルは、「ハイレゾ」(檜山氏)のディスプレイに990グラムという重量を目指しており、「できればチューナーを入れたい」という。やはり詳細は明らかにされなかったが、こちらも2012年度中の発売を予定している。
5.1インチモデルは、21:9という特殊なアスペクト比の液晶ディスプレイを採用するもので、パネルの供給元と「開発から協業して進める」(同氏) という。ただし、「商品の位置づけは検討中」(同)という段階で、発売時期などは明らかにされなかった。
東芝では、こうしたラインアップの拡充に加え、“次世代AV機器コントローラー”をうたう「メディアガイドApp」「リモートApp」を提供することで、タブレットとテレビとの親和性を高める。
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