「2012 International CES」が米ネバダ州ラスベガスで1月10日(現地時間)に開幕する。それに先立ち、9日にはメーカー各社が報道関係者向けの発表会を開催しており、すでに砂漠のオアシスはCESを前にしてヒートアップ。今回は同日に開催されたシャープ会見の様子をリポートしよう。
発表会の壇上に立った米Sharp Electronics会長兼社長の高橋興三氏は、まずシャープが今年で創業100周年を迎える歴史ある企業であることを紹介するとともに、同社の由来となった「Ever-Ready Sharp Pencil」という創業者の早川徳次氏の発明品のほか、世界初のソーラーパネルやカメラ付き携帯電話、液晶TVなど、業界にイノベーションを起こした製品の数々を披露。早川氏の「まねされる商品をつくれ」という標語にならい、シャープが総合家電メーカーとして今後も新たな境地を切り開いていくことをアピールした。
そんな同社がここ最近、北米市場攻略で力を入れているのが大画面液晶パネルを用いたテレビおよび応用製品だ。北米におけるテレビ製品のボリュームゾーンは30〜40V型クラスだが、このサイズではすでに多くの製品で店頭小売価格が500ドル未満になっているなど、価格の下落が著しい。すでに中国系メーカーの安価なパネルが大量流通しており、一時期はテレビ販売で市場を席巻した韓国メーカーも利益率の低下に苦しんでいる。
一方、50V型以上の大型テレビは全体の比率でいえば少ないものの、購買層が比較的裕福な層に偏っているほか、年々市場が拡大している。同日、LGとSamsungの2社は55インチという大型有機ELパネルを搭載した新型TVを発表するなど、方向性を変えた新技術に活路を見出しているが、シャープは自社の第10世代製造ラインを生かせる大型化に加え、4K2Kのような高解像度パネルと高画質化技術を組み合わせた品質の向上に注力する。
今回の発表会ではいくつかの新製品が紹介されているが、まず登場したのは80V型液晶パネルの応用製品だった。「AQUOS Board」は、Windows 7を搭載し、タッチパネル操作が可能な電子黒板。ビジネス現場やディスプレイ展示向けの製品で、社内のプレゼンテーションや会議に用いられるプロジェクターとホワイトボードを1台でまかなえる(日本ではBIG PADを同日リリースした)。
クリアな大画面で視認しやすく、直接手書きでホワイトボード的にメッセージや線を書き込むことができる。またWindows 7を搭載しているため、そのままプレゼンテーションファイルの再生やビデオ会議を行うことも可能だ。壇上には米MicrosoftのOEM担当バイスプレジデントのSteve Guggenheimer氏が登場し、Windowsシステムの可能性を広げる製品としてAQUOS Boardでのパートナーシップを強調した。
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