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インタビュー
» 2012年03月02日 14時58分 公開

小さくても“豊か”な音に、ソニーのAVアンプ「TA-DA5700ES」 (2/4)

[野村ケンジ,ITmedia]

酒井氏:「A.P.M.」(Automatic Phase Matching)も進化しています。先代までは7.1chでしたが、TA-DA5700ESではフロントハイスピーカーを追加、9.1chシステムとしました。また、それに関連して、スピーカーの設置位置を理想的な場所と角度にデジタル調整する「スピーカーリロケーション with A.P.M.」も、サラウンドバックスピーカーをファントム再生することで、バーチャル9.1chを実現しています。

「A.P.M.」の開発を担当した酒井氏。技術開発本部共通要素技術部門信号処理技術2部6課でシステムマネジャーを務めている

――先ほど実際に試聴させていただいたところ、音場のスムーズさは確かに素晴らしいと感じました。また、小音量でも音が痩せない、というのは確かにその通りで、かなり小さなボリュームでも、帯域バランスがまったくといっていいほど変わらないのには驚きました。

「A.P.M.」(Automatic Phase Matching:オートマチック・フェーズ・マッチング)の概要。すぺてのスピーカーの位相特性をフロントに合わせ、音のつながりを改善する。TA-DA5700ESではフロントハイスピーカーを含む9.1ch対応になった

さらに「スピーカーリロケーション with A.P.M.」では、音源(スピーカー)の位置を理想的な場所に“再配置”できる。リビングシアターなどでスピーカーを思った場所に置けない人には便利な機能だ

金井氏:ありがとうございます。これらはオーディオ的な理想と家庭の現実のギャップを埋めるものです。さらにソニーのAVアンプにはもう1つの柱があります。それは映画館や音楽ホールなどの音場を再現できる「音場モード」です。現場の残響をDSPで再現できるのですが、今回は9.1chシステムになるため、新たにいくつかホールで音響特性を実測し、その結果を反映しました。

――コンサートホールそのものの音場感が、家でも再生できるわけですか?

実際の測定データに基づき、反射音と残響音を再現する

酒井氏:ええ、リアリティーにはかなりこだわりました。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠となるヴィンヤード型のコンサートホールや、オランダのアムステルダムにあるシューボックス型の大ホール、オーストリアのウィーンにある木造のホールなどに8点マイクを設置し、音響特性を計測して、まさにそのままの音場感が家庭でも再現されるように作りました。これが「トゥルーコンサートマッピングA/B」というモードです。また同じ技術で作った「ベルリン・フィルハーモニック・ホール」モードは、ブラビア向けのデジタル・コンサートホールを再生する際、自動的にこのモードへと切り替わるようになっています。

――実測に基づく音場効果であることは、とても説得力があるように思います

酒井氏:そういっていただくと、苦労した甲斐があります。

――トゥルーコンサートマッピングA/Bやベルリン・フィルハーモニック・ホールのモード以外にも、いくつかのサラウンドモードが用意されているようですが。

酒井氏:はい、実測した数値を元に、という点では、「HD-D.C.S.」も9.1chシステム用にグレードアップしました。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)に協力を仰ぎ、ソニー・ピクチャーズ・スタジオで映画を編集するために使っている映画館「ケリーグラントシアター」でデータを測定、これを詳細に解析することで、映画館ならではの音場表現を作り上げています。

 ちなみに今回の「HD-D.C.S.」は3つのモードを用意しました。「シアター」モードは、映画館での上映用の音をミックスする環境を再現したもので、多くの方が映画らしさを満喫できるでしょう。「スタジオ」モードはBD用の音源をリミックスするときの環境を再現したもので、細かい音をすべてくみ取るような映画鑑賞に向いています。「ダイナミック」モードは、古きよき時代の映画館らしさを再現しました。

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