日本テレビ放送網の「JoiNTV」は、放送通信融合型のソーシャル視聴サービスだ。データ放送を使った枠組みということで、多くの人が”馬鹿にしている”のだが、実態を見返すと、とても馬鹿にはできない、というのが現状である。
というのも、地デジに完全移行した結果、データ放送の利用者は1番組あたりで50万世帯を超えているという。テレビの進化などにより、以前に比べてデータ放送を利用する際の速度感(表示にかかる時間)が異なるというのも、利用率が向上している理由かもしれない。
確かにデータ放送は古い技術だ。BMLというHTMLのサブセットを端末に送り、コンテンツを表示させる。策定されたのは1990年代の終わりであり、当時のデジタルチューナのパフォーマンスに合わせて設計されてる。
その上、データ放送を用いてテレビ局はたくさんのコンテンツを供給してきた。にもかかわらず、あまり反応がなかったことに対して、テレビを作る側も見る側も飽きていたのは確かだろう。
しかし、時代は変化した。デジタルチューナーが普及すると同時にインターネットの普及も進み、データ放送を活用した番組の双方向コンテンツへの参加者が急増している。とくにCATV世帯ならばインターネットサービスがセットにされていることが多く、単にデータ放送を受信できるだけでなく、インターネットサービスとの統合が可能になっている。
なぜなら、BMLの仕様にはECMA Script(Java ScriptとJScriptの両方と互換性のある標準規格)が採用されており、インターネットに接続されていれば、クラウドを通じて提供されている多様なWebアプリケーションをデータ放送の枠組みに取り込んで行くことができるからだ。
”日本ローカルの話だよね”という人もいるのだが、そもそも放送の枠組みは国ごとに異なるもの。日本だけを見ても、実際に全国で稼働しているデジタルチューナーは約1億台に上るのだ。確かに古くてショボイかもしれないが、クラウドを活用する前提で考えればアプリケーションの幅も拡がっていく。
もしかすると、バンバン新しいユーザーインタフェースが組み込まれた、未来的なサービスの何かが、テレビユーザーを捉えることもあるのかもしれないし、現時点ではサブカルチャーの領域に留まっている「ニコニコ動画」が、メインストリームへと進んでいくのかもしれない。そんな未来的なテレビをテレビのスマート化と捉えてもいいのだが、普及はこれからだ。ならば、1億台のインストールベースを生かして遊ぼうよ、というJoiNTVの提案は、これはこれでなかなかいいんじゃないかな? と思っている。
将来、もっとスゴイものになるかもしれないけど、今はこれでも十分遊べるよ、というのが、この企画を考えた企画者の気持ちだと話していた(実は同じようなことは、テレ朝でも考えていたんだよ!と、テレ朝の技術の人たちは悔しがっていました)。
さて、そんなJoiNTV。3月に実験的に深夜番組で走り始めた企画で、詳しくは“”こちらをどうぞという感じなのだが、いよいよ第2弾が”わりとイイ時間帯”に放送されるとのこと。大幅リニューアルも進んでいるとのことなので、Facebookページに注目してはおいてはいかがだろう。
現状のJoiNTVは、Facebookの連動を主軸にしているが、何もFacebook連動だけがすべてではない。それ以外のサービスとの連動も、スクリプトを通して取り込める上、スマートフォンなどとの連動も行える。動画配信などの派手なサービスとは異なる方向だが、1億台のインストールベースを活用する手段は、まだまだ残されているのではないだろうか。外部にセットトップボックスを接続しなくとも、できることはまだある。
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