USB DACやヘッドフォンアンプ、音響/AV機器向け高級ケーブルなど、このところオーディオ製品にも力を入れている上海問屋だが、2012年6月末にバッテリー動作型のポータブルヘッドフォンアンプが2製品同時にラインアップに加わった。今回、これらを試聴することができたので紹介しよう。
まず「DN-80646」は、49.7(幅)×80.2(奥行き)×19.7(厚さ)ミリと比較的コンパクトなアルミ製ボディに、単四乾電池4本で約50時間の連続使用を可能とする軽量小型志向で、携帯性も考慮したポータブルアンプだ。定格出力は150オームで40ミリワット、300オームで15ミリワット。そこそこの定格出力を確保しているので、音量的には高級志向なイヤフォンはもちろん、オンイヤータイプのヘッドフォンまで使用できそうである。
コンパクト型といっても、よくあるポータブルヘッドフォンアンプ(上海問屋「DN-69230」やiBasso「D5 Hj」など)とさほどかわらないボックス型ボディであり、iPhoneやiPodなど、ポータブルプレーヤーとともに携帯するなら、ゴムバンドや面テープでくるりとまとめて活用するスタイルになるだろう。
なお、サイズは普通だが、電源スイッチがトグルタイプであること、そしてバッテリーカバーの手回しネジが少し出っ張っているのは少し注意したい。バッグに入れて携帯するなら付属する布製ケースを活用するとよさそうだ。
一方の「DN-80647」は150オームで200ミリワット、300オームで150ミリワットのハイパワー型で、ヨーロッパ製の高級ヘッドフォンも十分利用できる強力な定格出力を実現する。電源は9ボルト角形乾電池(006P型)を2個使用する。それでも連続使用時間は約10時間ほどと、パイパワータイプなだけにやはりかなりの大食いモデルであるようだ。
ボディサイズは78(幅)×112(奥行き)×35(厚さ)ミリ、重量はバッテリー込みで約530グラムと、ポータブルタイプとしてはかなり大柄だ。バッグならよいが、ポケットに入れて携帯するには少し、というか、かなりツラいので注意したい。
ただ、ボディはなかなか凝ったつくりとなっている。一般的にこういった製品は金属パネルを組み合わせたものか、押し出し材の前後にパネルを付属するタイプがほとんどなのだが、こちらはアルミの鋳造ボディを採用し、上面のみ開閉できるようになっている。この重さはこういったつくりのためだ。その方法論は明らかに高級オーディオのそれに通じる。さらに、上面のパネルは4ミリ近い厚みがあることに加え、合わせが磁石式のはめ込みタイプだったりと、このケースだけでもかなりの存在価値を持っている。
内部は、シンプルな構造ながらも定評ある高品位志向なパーツが並んでいた。入力側のオペアンプは「LME49710MA」と出力側のバッファアンプは「BUF634」を採用し、それぞれ別のパーツに差し替えも可能となっている。
ここまで書けば、ポアタンに詳しい人は気がついたかもしれない。そう、これは自作キットなどでもよく見られる、定評ある高音質志向なポータブルアンプの完成品──といってもいい仕様となっている。ただ、ここまで豪華なケースのキットはなかなかないと思うので、ある意味“理想的な半完成済みポアタン”といえるのかもしれない。
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