シュア・ジャパンが11月下旬に発売する「SE215 Special Edition」は、昨秋の「SE535 Special Edition」に続くスペシャル版であり、ベースモデルの「SE215」とは味付けの異なるチューニングが施されている。ユーザーアンケートの結果を考慮したという、その内容を聞いた。
昨年春に登場した「SE215」は、ダイナミック型ドライバーを採用したエントリー機だ。バランスト・アーマチュア型を搭載した上位モデルとはドライバーこそ異なるものの、「SE535」や「SE315」と同デザインのシェル、スナップ・ロック式の着脱式ケーブルを採用しつつ、1万円前後という手頃な価格も合わせて人気モデルになっている。音質面でも低音を出しやすいダイナミック型のメリットを生かしつつ、モニターの系譜という期待を裏切らないストレートな音で評価されている(→レビュー記事)。
ただ、ユーザー層はシュアの想定と少し違ったようだ。シュア・ジャパンでプロダクトマーケティングを担当する沢口宙也氏は、「ユーザーアンケートを実施して分かったのは、聴いている音楽ジャンルはポップスやロックが圧倒的だったこと」と話す。スペシャルエディションの開発にあたり、「主要なユーザー層の好む音にすることを決めた。つまり、ボーカルの声が前に出てくる音にすればいい」(同社)。
手を加えたのは、ドライバーとバックキャビティーの間にある音響抵抗スクリーン。抵抗値を落とすことで、最終的にノズルから出る音の低音を拡充している。「単に抵抗値を下げれば低域が増えるわけではない。望んだ周波数帯域のレスポンスが上がるようにチューニングした」。実際に周波数特性のグラフを見ると、20Hzから1kHzまでのカーブで平均2デシベルずつ上がっていることが分かる。一方、グラフでには入っていないが、1kHz以上はSE215とほとんど変わらないという。
実際に音を聴くと、確かにSE215に比べて低域および中低位機のボリュームが増している。いわゆるドンシャリではなく、中高域の自然なクリアさはそのままに中低域が厚みを増し、結果として人の声(ボーカル)が引き立っている印象。重低音好きには物足りないかもしれないが、ボーカルメインの楽曲にはぴったりとはまるだろう。スペックは、再生周波数帯域が21〜1万7500Hz。音圧感度は107dB/mWで、インピーダンスは20オームだ。
またスペシャルエディションには、音質チューニングのほかに大きく2つの特長がある。1つはシェルのカラー、もう1つはケーブルの色と長さ。まず「トランスルーセントブルー」のシェルと「ダークグレー」というケーブルの組み合わせについては、「デザイナーが提示した複数の候補から、ターゲットとなる若い人が親しみやすく、あまり暗くない色を選んだ」という。今まで以上にコンシューマーマーケットを意識した選択だ。
ケーブルの長さは1.2メートルと40センチほど短くなった。「SHUREのイヤフォンは、ステージ用のパーソナルモニターから始まったため、それに適した長さ(1.6メートル)が標準という面がある。今回は、日常使用に適した長さを選んだ」。耳にかける部分のワイヤーフォームフィット機能や、着脱式の金メッキMMCXコネクターは変わらない。
SE215 Special Editionは、11月下旬に発売予定で、価格は1万円を切る見込み。スペシャルではあるが販売数量や期間を限定するものではなく、SE215のバリエーションモデルと位置づけられる。既存のSE215も併売され、どちらもレギュラー商品として店頭に並ぶ予定だ。
なお、製品発表前に同社が実施した「色あてキャンペーン」は、アジア全域十数ヵ国で同時に展開したが、応募は日本がもっとも多かったという。当選者20名のうち、半数が日本人になる見通し。当たった人は期待して発表を待とう。
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