日立マクセルが高級オーディオ分野に復帰する。同社は11月21日、2基のドライバーを搭載したカナル型イヤフォン「MXH-DD600」および「MXH-DBA700」を発表した。MXH-DD600はダイナミック型2基、一方のMXH-DBA700はBA(バランスド・アーマチュア)型とダイナミック型のハイブリッド構成とした意欲作。いずれも12月10日に発売予定だ。店頭予想価格は、MXH-DBA700が1万円前後、MXH-DD600は8000円前後。
マクセルといえば、オープンリールの時代からカセットテープ、DATに至るまで、質の高いメディアとして確固とした地位を築いたブランド。シリコンオーディオの登場により、音質よりもハンドリングの良さが重視される時期もあったが、近年のスマホ普及やハイレゾ音源配信の盛り上がりを受け、再び高級オーディオ分野に参入することを決めた。同社コンシューマ事業部長の乘松幸示氏は、「今回の製品を手始めに、今後も商品開発を強化する。オーディオ分野で高いアイデンティティーを築いていきたい」と話す。
その意欲を示すものとして、新たに“m”を象ったシンボルマークを製作した。「maxellの“m”であり、musicの“m”、そしてman(人)の“m”。縦に刻まれた3本のラインが過去・現在・未来の人を示し、左右に突き抜けるラインは音を表す。マクセルが音楽で人をつなぐという意味を込めた」(同社商品企画部長の小林是人氏)。このシンボルマークのもと、同社はイヤフォン/ヘッドフォン事業をグローバルに展開する考え。2013年1月には香港にヘッドフォンの研究開発などを手がける事業統括会社を設立するという。
新製品のターゲットは明快だ。イヤフォンのボリュームゾーンは5000円以下の低価格製品で、数量シェアでは実に全体の95%を占めている。同社も今までは同価格帯の製品を展開していたが、GfK Japanの調査によると金額シェアでは5000円以上の製品が3割に近い28%を占めるという。「このボリュームも見逃せない」と小林氏。前述のハイレゾ音源配信など、“いい音に目覚める人”がひろがつつあるが、高額のヘッドフォンはハードルが高い。そこで、「手の届く価格帯で本格的な音を楽しみたい。そのようなミドルユーザー層を取り込んでいく」。
MXH-DBA700とMXH-DD600は、金管楽器をモチーフとした共通のデザインが与えられている。ハウジング部はアルミを切削加工したもので、角をなくしたホーン型の形状と合わせて剛性を高め、不要共振を抑える。
MXH-DBA700では、ハウジング内で中高域を担当するバランスド・アーマチュア型ドライバーを前方に斜め配置して解像度の高い高音を鼓膜にダイレクトに伝える設計だ。また8ミリ径のダイナミック型ドライバーを後方に配置。やはり斜めに固定することで、直進性の高い高域を抑えつつ中低音に迫力を与えた。目指した音は、「キレのある中高音域と豊かな低音域」(同社)だ。
一方のMXH-DD600は、中高域用の6ミリ径ドライバーを前方に、低域用の8ミリ径ドライバーを後方に、それぞれをずらして配置している。ネオジムマグネット搭載のダイナミックドライバーならではの低域ボリュームを生かしつつ、2つのドライバーで深い音場を作り出すという。
ユニークなのは、両モデルの周波数特性がかなり異なること。性格の違うドライバーを組み合わせ、それぞれに特長のある音を目指したことが分かる。インピーダンスと感度は、デュアルダイナミック型のMXH-DD600が8オーム、100dB/mW。ハイブリッド型のMXH-DBA700は16オーム、104dB。再生周波数帯域はいずれも20〜2万Hzとなっている。
コードは全モデル共通で、からみにくいフラットタイプを採用。1.2メートルのY型とし、L型の3.5ミリミニプラグには金メッキを施した。また、銀イオンを練り込んだ抗菌イヤーピースは、SS/S/M/Lの4サイズが付属する。
型番 | MXH-DBA700 | MXH-DD600 |
---|---|---|
ドライバー構成 | 密閉バランスド・アーマチュア型×1、8ミリ径ダイナミック型×1 | 6ミリ径ダイナミック型×1、8ミリ径ダイナミック型×1 |
音圧感度 | 104dB/mW | 100dB/mW |
インピーダンス | 16オーム | 8オーム |
再生周波数特性 | 20〜2万Hz | |
最大入力 | 200mW | |
コード長 | 1.2メートルY型(フラットタイプ) | |
プラグ | 3.5ミリステレオミニプラグ(L型、金メッキ) | |
重量(コード含む) | 約17グラム | 約16グラム |
カラー | ブラック | ブラック、レッド |
付属品 | 抗菌イヤーピース SS/S/M/L各2個 | |
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