近年、AVアンプの性能底上げが著しい。中でもボリュームゾーンとなった10万円以下の価格帯には各社から複数のモデルが投入され、市場を活性化する一因になっている。しかし、買う側から見ると狭い価格レンジの中にいくつものモデルがひしめき合い、違いが見えにくくなっているのも事実だろう。そこで今回は、ヤマハの2013年春モデル「RX-V575」および「RX-V775」を取り上げ、機能から内部の作り、実際の音まで直接比較してみたい。
まず2製品の概要を紹介しておこう。両モデルともディスクリート構成のパワーアンプを7基搭載したAVアンプで、独自の音場創生技術「シネマDSP」や「YPAO」といったヤマハならではの機能を網羅している。DLNA 1.5によるネットワークオーディオ機能は192kHz/24bitまでのPCM音源(WAV、FLAC)に対応し、さらにアップルのAirPlayをサポート。MHL対応のHDMI端子、apt-X対応のBluetoothアダプター「YBA-11」(8400円)など、時流にのってスマートフォンユーザー向けの機能も多く盛り込んだ。もちろん従来機同様、専用アプリ「AV CONTROLLER」を使えばスマートフォン/タブレットからAVアンプを無線でコントロールできる。
希望小売価格は、RX-V575が6万3000円、RX-V775は9万2400円。定価では3万1000円の開きがあり、実売価格は安くなっているものの価格差は同程度だ。ちょっと“ふんぱつ”すれば1つ上のグレードが狙えるし、逆に下位モデルのコストパフォーマンスが高ければ初期投資を抑えて相対的な満足度を高めることもできそう。なんとも微妙な位置付けにある2機種といえる。
外観デザインは「RX-Vシリーズ」共通のシンプルかつ実用的なもの。RX-V775は上位機らしく、高さが1センチ、奥行きは5センチ長くなり、フロントパネルもアルミ製だ。また細かい点だが、MHL(Mobile High-Difinition Link)対応HDMI端子が前面(RX-V775)にあるか、背面(RX-V575)にあるかといった違いもある。もし、Android端末を所有していてMHL接続を頻繁に使うつもりなら、こうした使い勝手の違いにも着目したい。
HDMI端子は、RX-V575で5入力、RX-V775は6入力(2出力)と、どちらも必要十分。むしろ、数年前のAVアンプを使っている人なら、10万円以下のモデルがこれほどのHDMI入力を備えていることに驚きそうだ。なお、両モデルとも4Kパススルーに対応しているため、将来的にテレビやレコーダーを買い替えるときにも安心。さらにRX-V775では4Kアップスケール機能も備えた。もっとも、4Kテレビや4K出力対応BDレコーダーは超解像技術を含む強力なアップスケール機能を“売り”にしているため、とりあえず4Kパススルーがあれば必要十分だと思われる。
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