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» 2013年06月06日 10時00分 公開

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:日本型スマートテレビ“Hybridcast”が実現すること、しないこと (2/3)

[芹澤隆徳,ITmedia]

――民放が考えたアイデアも複数展示されていました。

麻倉氏:それぞれにユニークでした。例えばフジテレビはCM視聴でポイントをためると視聴者プレゼントに応募できるアプリ、TBSでは音楽番組に合わせてスマホをマイク代わりに歌うと採点してくれるといったアプリがありました。いずれも「技術検討中」でサービス開始時期は未定とのことですが、なかなか楽しみです。

WOWOWは平日19時に無料放送している「ザ・プライムショー」を例にその“進化版”を展示した。視聴者は自分のアバターを造って番組に参加。テレビ画面の下部にアバターが並び、タブレット操作(HTML5アプリ)で感情表現も可能だ。一緒に番組を盛り上げることができる。画面上側には、時系列で盛り上がり度を示すグラフも表示される

フジテレビは番組連動アプリをCMや視聴者プレゼントに利用する事例を複数展示した。画面はカクテル商品のターゲットCM。タブレットを斜めにすると、テレビ画面のグラスにカクテルが注がれるという演出が面白い。放送局はCMや商品に興味を持ってもらい、視聴者は楽しんだ後にプレゼントに応募できる

同じくフジテレビの「追っかけカメラ」。アイドリングのライブを見ながらアプリを起動するとテレビ画面にフォーカスのターゲットが現れるので、お気に入りの子が映ったところでシャッターを押すと(左)、その画面がタブレット内に画像として取り込まれる。その画像をタップすれば、IP通信で取得した特典映像がタブレットやテレビで再生できる(右)。ちなみに、特典映像は、有料VODやBDに収録する特典映像の一部を使用するため、そちらの販促にもつながると考えている

日本テレビの「休日コンシェルジュ」。番組グッズなどを紹介する番組で、タブレット画面右側のクリップタイムラインを操作すると番組で紹介しグッズの情報をゲットできる(左)。TBSの「カウントダウンTVコネクト」。番組に登場するアーティストのパフォーマンスに合わせ、スマートフォンに向かって視聴者がうたうと、歌を採点してくれる(右)

――Hybridcastには、年内に開始する“第1フェーズ”の後、機能を拡張した第2フェーズ以降も検討されています

麻倉氏:第2フェーズの注目は、「放送外マネージドアプリ」でしょう。これまでに紹介した応用例は、あくまで1つの番組あるいは1つの放送局を見ているときに有効な「放送マネージドアプリ」でした。しかし、放送外マネージドアプリになると、放送局をまたいで動作します。つまり、テレビのチャンネルを変えても継続して利用できるのです。

 例えば「TV Kitchen」というアプリが紹介されていました。これはタブレット用の“レシピアプリ”ですが、放送局を問わずに料理番組があるとレシピや関連情報を提供してくれます。ユニークなのは、料理番組の放送時間になるとプッシュ配信で教えてくれること。例えば、「王様のブランチ」でピザの情報を見ているとき、NHKで料理番組が始まると画面上に「もうすぐ始まります!」というダイアログが表示されます。ここで「見る」ボタンを押せば、テレビのチャンネルが切り替わります。

「TV Kitchen」。料理番組が始まると画面上に「もうすぐ始まります!」というダイアログが表示される

麻倉氏:Hybridcastの課題も指摘しておかなければなりません。それが“生放送”にのみ対応すること。録画は対象外ということです。番組外マネジメントアプリを使えば、可能な場合もあるかもしれませんが、基本的に、録画したコンテンツはHybridcast再生ができません。

 もう1つ非常に基本的なことですが、考え方として番組関連、非関連にこだわらず、「放送を見てもらう」ためのネット活用であることです。Hybridcastを使い、いわゆる“テレビ離れ”から視聴者を取り戻そうという発想なのですが、その発想自体が古いのではないでしょうか。テレビが本線、ネットからのコンテンツが副線という2分割ではなく、テレビもネットもどちらも本線で、本編のコンテンツの中にネットからのコンテンツを融合させるという革新的な発想はないのでしょうか。

――サービスの将来像として、8Kを使ったHybridcast応用例もありました

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