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力の入った低価格AVアンプ! ソニー「STR-DN1040」で“楽器を持たないポール・マッカートニー”を聴いてみよう潮晴男の「旬感オーディオ」(1/2 ページ)

» 2013年06月18日 18時17分 公開
[潮晴男,ITmedia]

まずはごあいさつ

 音楽は鼓膜ではなく体で聴いてほしい……、これがぼくの願いである。だからといってポータブルオーディオを否定するつもりはないし、TPOを考えれば、1000曲単位で楽曲を収納できるiPodやウォークマンほど使い勝手に優れたツールはないと思う。音楽を身近にしてくれる携帯プレーヤーの活用に異論はないけど、そうした人にこそスピーカーでも音楽を聴いてほしい。空気を伝わって届く音にはヘッドフォンとは違う味わいがあるからだ。

 今回から、音楽ソフトを通じて旬のオーディオ・ビジュアル機器の情報をお届けする。これからオーディオ・ビジュアルを始めたい人、もっと深く趣味の世界を掘り下げたい人にこのページを通じて少しでも意欲のサポートができればうれしい限りである。

力の入った低価格機、ソニー「STR-DN1040」

 円安に株高、いささか乱高下のきらいはあるけど、アベノミックスの影響で皆さんの懐は潤ってますか……。ぼくはというとまるでどこ吹く風。あまり景気のよい話は聞えてきません。むしろアベ・ノーミックスですかねぇ。そんなわけでもないでしょうが、この春から夏にかけてのAV業界は、コストパフォーマンスの高い製品が目白押し。中でもAVアンプは「なんじゃこりゃっ」と、言うようなプライスのモデルが並んでいますが、これがただお安いだけじゃなくなっているんです。

「STR-DN1040」。フロントパネルがフラットになったデザイン。高さは172ミリと少々高めだが、奥行きは329.4ミリとかなり短くなっている

 正直なところ、以前の廉価モデルというか、エントリークラスのAVアンプは結構“箸棒”製品が多く、どう見ても上位機のついでにというか余力で作り上げた感じだった。実際音も貧弱で、まぁ値段が値段だからしょうがないか……、と半ばあきらめていたが、今年は何やら雰囲気がガラリと変わっている。

 中でもその急先鋒がソニーの「STR-DN1040」だ。価格は6万8250円。実売だと5万円を切るだろう。にもかかわらず、このモデルはシャーシを新規に起こし、新たに7.1チャンネル構成の広帯域パワーアンプまで開発した。いやはやこの意気込みは何なんだ、というくらいのこだわりぶりである。Wi-FiやBluetoothを加えた多彩な機能、8入力/2出力のHDMI端子、4Kアップスケーラーを加えた映像回路など、装備に関してもこれまでのこのクラスの製品には見られない変化である。

無線LANを内蔵しているため、背面にアンテナを装備。HDMIは8入力/2出力(左)。スピーカー端子は±が上下に並ぶスタイルとなり、ピッチ(すき間)は「STR-DN2040」より広くなるなどメンテナンス性も向上した(右)

前面にはMHL対応のHDMI入力をはじめ、192kHz/24bitまでのハイレゾファイル再生に対応したUSB端子を装備(左)。BluetoothとAirPlayの両方を追加投資なしで実現した現行唯一のモデルでもある(中、右)

 細かい点ではガラスエポキシ基板を採用し、ここにパーツを表面実装したりオーディオグレードのブロックコンデンサーや抵抗を採用して音の純度を高める工夫がなされている。もっと驚いたのは電源用のヒューズだ。音質を吟味したというアルミナ材を用いていることも、今までのこのクラスにはなかったことだ。

基板は高級機と同じガラスエポキシ基板となり、両面実装でコンパクト化(左)。シャーシも新設計。ビームと呼ばれるエンボス加工でトランスや脚部の取り付け部を強化。アンプ回路に不要な振動を伝えない仕様とした(右)

 開発段階でも視聴させてもらったが、この時すでに予感させるものがあった。このモデルの姉妹機に「STR-DN840」があるが、こちらもなかなかの仕上がりぶりながら、比較するとすでに上位機の貫録が備わっていたからだ。

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