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「ユーザーの幅を広げたい」 マランツからフラグシップの技術を継承した「14シリーズ」登場

» 2013年09月02日 12時17分 公開
[ITmedia]

 ディーアンドエムホールディングスは9月2日、プリメインアンプ「PM-14S1」およびUSB-DAC/SACDプレーヤー「SA-14S1」を発表した。同社の設立60周年記念モデル「11シリーズ」直系の技術を多く盛り込んだ中級機。「ユーザーの幅の広げたい」(同社)という。各25万2000円で10月中旬に発売する。

「PM-14S1」と「SA-14S1」

 PM-14S1には、「PM-11S3」同様のフルディスクリート電流帰還型プリアンプを搭載。また音質チューニングのため、ボリュームアンプ初段には初めてフェアチャイルド・セミコンダクター製のトランジスタを採用した。「市場からオーディオ用トランジスタが減り、新しいサプライヤーを探していたところ、40年ほど前に使っていたフェアチャイルドが候補に上がった」。実際に試してみると「良い意味で、米Marantz時代の音楽性、おおらかさが出た」という。

「PM-14S1」の内部

 パワーアンプもPM-11S3と同様、安定性の高いV/Iサーボ方式電流帰還型回路を採用。入力回路DCサーボ回路には独自の「HDAM-SA3」を使用し、ペアンプを廃したディスククリート構成としている。位相補償回路のコンデンサーには、PM-11S3にも使われているフィルムコンデンサー「ブルースターキャップ」を採用。さらに電源トランスには大型のトロイダルトランスを採用し、巻き線にPM-11S3と同様のOFCを用いた点も「このクラスとしては初」という。出力は8オーム負荷時で各チャンネル90ワット、4オーム時には140ワットとなる。

 「内容としてはPM-11S3にとても近い。“PM-11S3のパワー(出力)が小さくなったもの”と思っていい」(同社)。

製品概要。随所に上位機「PM-11S3」の文字が出てくる

前面には蛍光表示管に比べて各種ノイズの発生が少ない液晶ディスプレイを採用。ディスプレイオン時のノイズは従来の1/3程度だという。もちろんオフにもできる。本体サイズは440(幅)×123(高さ)×457(奥行き)ミリ。重量は18.5キログラム

データ再生にも注力したSACDプレーヤー「SA-14S1」

 一方、SACDプレーヤーの「SA-14S1」では、ディスク再生の要となるメカエンジン部が「SA-11S3とほぼ同じ」(同社)。とくにピックアップと回路構成はSA-11S3の「SACDM-2」と同一だ。トレーには「SA-8003」から使用されている制振性に優れたザイロン素材を採用。ベースには2ミリ厚の鋼板を使用し、メインシャーシに強固に固定した。

「SA-14S1」の内部

 データ再生機能については、DSD 5.6MHz再生まで対応するUSB-DAC機能を搭載。回路構成およびPCなどの外来ノイズを遮断する「コンプリート・アイソレーションシステム」などはSA-11S1から継承したものだ。

ドライブとUSB-DAC機能。DSD再生は、ASIOドライバーによるネイティブ再生およびDoP(DSD over PCM Frames)の両方をサポート。PCM系は最大192kHz/24bitまで対応する。もちろんアシンクロナスモードにも対応している

 DACチップには、さまざまなリスニングテストを繰り返した末、「DSD1792A」を採用した。決して新しいチップではないが、「躍動感の表現に優れている」ところが評価ポイントだという。「最新のDACに比べ、DSD1792Aは許容出力電流が非常に大きい。これが音に影響したと考えている」(同社)。

 このほか、iPod/iPhoneのデジタル接続に対応したフロントUSB端子(USB-A)、および最大192kHz/24bitのPCM信号に対応した同軸/光デジタル入力を装備。いずれの入力もジッターリデューサーによりジッターを低減してからDACに送り込まれる仕様となっており、「ネットワークメディアプレーヤーやテレビなどを接続し、SA-14S1のDACやアナログ出力を通した高品位再生が行える」という。

背面端子

 音声出力は、アナログ、同軸デジタル、光デジタル、ヘッドフォンが各1系統。ヘッドフォンアンプもHDAM-SA2によるフルディスクリート構成となっている。

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