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4K、新OS、そして曲がるテレビ……CESで占うテレビの新トレンド2014 International CES(2/3 ページ)

» 2014年01月16日 20時28分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

とにかく“曲げる”サムスン

 全方位戦略ともいえるLGに対し、対抗のSamsung(サムスン)は「曲面パネル」という点で特化していた。まず同社ブース入り口で出迎えるのは大量の曲面4Kパネルと110インチ巨大スクリーンといった具合だ。このほか、プレスカンファレンスで紹介されて話題を呼んだ「“曲げられる”4Kテレビ」の稼働デモのほか、曲面パネルを採用するメリットを紹介した比較デモなど、とにかく「曲面づくし」といった印象だ。

大量の曲面4Kパネルと110インチの巨大スクリーンが入り口で来場者を出迎えるSamsungブース。この2つがほぼ同社ブースの展示内容とメインテーマを物語っている

 ただ、曲面特化という以外の部分に目を向けると、大枠ではLGと同じような展示内容だった。21:9のシネスコサイズ曲面テレビのほか、PC向けの(曲面)4Kモニター、3D表示を生かしたデュアルビューと裸眼3D、8Kパネルの展示など、従来技術の延長線上にある技術展示が行われていた。LGのwebOSのような目玉はないものの、引き続きスマートテレビ関連のアプリやコンテンツ配信に関する展示に広いスペースが割かれており、「既存の展示の延長線上で“曲面”という部分を特にフィーチャーした」というのがSamsungブースの特長といえそうだ。

プレスカンファレンスで紹介されて話題になった“曲げられる”4K有機ELテレビ。パネルの両端にモーターが仕掛けられてあり、一定時間ごとに平面から曲面までゆっくりと自動的に変形していく

LG同様に21:9のシネスコサイズ曲面TVも展示されていた(左)。曲面テレビが最大のテーマだっただけに、そのメリットを解説する展示も行われていた。曲面パネルでは視点によって画質の見え方が均等になり、自然な映像を楽しめるという(右)

曲面パネルだけでなく、その他の高画質化技術についてもデモストレーションが行われている。写真は明るさやシャープネスなどの要素を自動補正するもの(左)。曲面パネルについてはTVだけでなく、PCやワークステーション用のモニターにも供給が行われるようだ(右)。

曲面4K有機EL TV、3Dグラスを使ったデュアルビュー、8K TVなどの技術展示も行われているが、やはり最大の主役は曲面パネル関連の展示だと思われる

目新しさに欠けたシャープ

 シャープの展示構成は昨年のCESとほぼ同様で、入り口では90インチのフルHDパネルが用意され、その展示内容もIGZOを主体としたものとなっている。8Kテレビの展示が行われていたのは前回と同様だが、今回新たに秋の「FPD International」でも展示されていた8K裸眼3Dパネルが紹介されていた。また国内では発表済みのQuattron+や4Kに関する技術展示、Dolby Vision対応テレビの参考展示など、今後の展開に注目したいものもあった。

シャープブースの展示構成は去年のCESとほぼ同じ。90インチのフルHD画面が入り口にあり、IGZO技術の関連展示が中心だった

 少々残念なのは、今回のCESでの展示はそのほとんどが日本国内などですでに発表済み、または公開済みのものばかりで、目新しさに欠けていた点だ。IGZO関連も去年に比べると小粒のものに留まり、8Kや4K関連も既成のコンテンツが中心で、多くのメーカーの展示の中で埋没してしまった印象。シャープは経営難もあり昨年の「IFA 2013」では展示ブースを設けなかったが、せっかく出展したCES 2014の展示内容がこの状況では非常にもったいない。

裸眼立体視対応の8Kディスプレイ(左)とDolby Visionの画質比較デモ(右)

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