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PM2.5に打ち勝つ! ブルーエアの空気清浄技術で知るその方法滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(1/3 ページ)

» 2014年01月21日 21時50分 公開
[滝田勝紀,ITmedia]

 今年もまた花粉の季節がやってくる。日本気象協会(tenki.jp)によれば、スギ花粉の飛散量は北海道や青森で昨年の倍と予想されるほかは、前年よりも少ないとのこと。だが、そんな情報を仕入れても、もちろん花粉症の人は一切油断できない。さらに気になるのが、昨年からスギ花粉以上に深刻と話題にあがっている微粒子「PM2.5」の存在だ。

 なぜそれほど深刻なのか? それを知るためには、あらためてPM2.5について確認しておこう。PM2.5とは、大気中に漂う微粒子のうち直径2.5μm以下の小さな粒子全般を指す。このサイズ感をもう少しイメージしやすくすると、髪の毛の太さの約30分の1くらいのサイズ。つまり、目に見えないのはもちろん、通常の花粉用のマスクも通り抜けてしまうほどの小ささだ。主な発生源は工場の煤煙や車の排ガスとされ、大量に吸い込むことでぜんそく、肺がんなどの健康被害を引き起こすおそれがあるという。

 さて、そんな微粒子PM2.5に対して、昨年、大手メーカーが対応を表明するか否か決めかねていた中、いち早く「除去できる」と掲げ、ビッグセールスを記録した空気清浄機がある。それがスウェーデンの空気清浄機専業メーカー、Blueair(ブルーエア)だ。家電量販店でも扱っているので知っている方も多いかもしれないが、米国家電製品協会(AHAM)が定める「CADR(Clean Air Delivery Rate/クリーンエア供給率)」で、最高値を獲得した空気清浄機であり、大手国内メーカーも含む、同条件のテストにより「花粉」「ホコリ」「タバコ煙」の全項目で最高値を取得。つまり、世界基準でNo.1に選ばれた空気清浄機だ。

「ブルーエア270E」は12畳対応。価格は税込み5万4600円(左)。21畳対応の「ブルーエア450E」は7万9800円(中)。最も大きな39畳対応の「ブルーエア650E」。価格は11万9700円(右)

 とはいえ、やっぱり目に見えない空気清浄能力の話であり、ユーザーの立場からすれば正直実感がない。今回はブルーエアの技術について、ブルーエアを国内で販売するセールス・オンデマンドのテクニカルサポート部・曽根泰氏に詳しい話を聞いた。

セールス・オンデマンドのテクニカルサポート部・曽根泰氏

――まず、ブルーエアと他の空気清浄機の違いを教えてください

曽根氏: 大きく違うところは“空気清浄機のフィルタリング手法”と“大風量&清浄スピード”です。さらに、空気清浄機というと、日本の場合、加湿機能がついた空気清浄機が主流となっていますが、ブルーエアは空気清浄機能のみだということも。これにも理由があり、空気清浄機能を高めるには、筐体の大きさが非常に重要で、ブルーエアには、加湿機能と空気清浄機能を融合させてしまうと、どうしてもどちらの機能も中途半端なものになってしまうという考え方があります。さらに加湿タンク内の水は、いくらキレイにしていたとしても、時間が経てば細菌などがわいてしまいます。そういった細菌を空気清浄機の風でバラまいては逆効果になるというのも、ブルーエアの考え方です。

――加湿タンクの細菌については、大手メーカー各社ともag+イオンカートリッジを使うなど工夫しているので、一概には言い切れないと思いますが、それがブルーエアのスタンスということですね。では、空気清浄能力の違いについて、つまり“空気清浄機のフィルタリング手法”と“大風量&清浄スピード”について、詳しく教えてください

磁石のように微粒子が吸着?

「ブルーエア450E」のイオナイザー部分。先端部分からマイナスイオンを放出する

曽根氏: フィルタリング手法ですが、ブルーエアが採用している方式は独自技術「HEPA Silentテクノロジー」です。この技術により、ブルーエアは汚れの除去性能と清浄スピードを両立しています。一般的に空気清浄能力を高める際に、まず考えるのがフィルターの目を細かくすることだと思います。ただ、除去力を重視して目を細かくし過ぎると、空気が通りにくくなり、風量や風速は弱まりますよね? 逆に風量や風速を重視してフィルターの目を粗くすると、今度は当たり前ですが、微粒子などは通り抜け、汚れの除去性能は低下します。多くの空気清浄機はこの矛盾を目の当たりにしながら、だいたいのところでHEPAフィルターなどを使用し、バランスを取っているというのが実情です。でも、ブルーエアは違います。

――なにが違うのですか?

曽根氏: 仕組みはこうです。ブルーエアは大風量で清浄スピードを高めます。筐体(きょうたい)内へと入ってきた微粒子を含む汚れに対して、まずはイオナイザーでマイナスの電子を放出し、それらをマイナス帯電させます。

 分かりやすくするために磁石に例えてみましょう。入ってきた汚れが磁石のN極になったと思ってください。続いて、その汚れがそのまま風に乗って、フィルターへと進みます。このフィルターは予めプラスに帯電してある3層のフィルター(3ステップHEPA Silentフィルター)です。つまり、こちらは磁石に例えると、真逆のS極になっていると思ってください。プラスとマイナスは引かれ合う性質を持っているので、そのまま磁石のN極とS極が近づくとくっつくように、大風量に乗ったマイナスの微粒子を含む汚れは、プラスのフィルターにくっつき、風だけはそのまま通り抜けるというわけです。

HEPASILENTテクノロジーのイメージ。空気中の汚れをイオナイザーでマイナス帯電させ、プラスに帯電させた三層構造の独自開発の特殊フィルターに吸着する

――しかし、フィルターが3層にも重なっていると、それだけでも風速を弱めてしまいませんか?

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