PCオーディオ入門にもってこいの製品として好評を博したフォステクスのヘッドフォンアンプ内蔵USB-DAC「HP-A3」(2009年発売)。そのコンセプトを受け継ぎつつ、DSDなどの最新フォーマットに対応し、スタイルからユーザビリティーまで大幅なリファインを施したのが、今回紹介する「HP-A4」だ。
外観は、「HP-A3」とは全く異なるテイスト。アクリル系のクリアパネルを配したフロントパネルや、筐体(きょうたい)をサイドから挟み込むように配置されたアルミパネルなど、最上位モデル「HP-A8」のイメージに近い洗練されたものだ。実際、開発者に話を聞いたところ、HP-A8と同じデザイナーの手によるものだという。プロユース的な無骨さが逆に評価された「HP-A3」とは異なり、コンシューマー向けを意識した上品なイメージをまとう。そういったキャラクターの違いもあってか、「HP-A3」は今後も継続販売されることになっている。よって、「HP-A4」は「HP-A3」の後継機ではなく、あくまでも上位モデルに位置づけられる。
一方、肝心の機能性についてもなかなか充実している。USB入力のほかに、光デジタル入出力、アナログRCA出力が用意されているのは「HP-A3」と同じだが、DACにバーブラウン製「PCM1792A」を搭載することで、リニアPCMの対応を最高192kHz/24bitまで向上。加えてDSD形式も5.6MHzまでサポートし、最新のハイレゾ音源もほぼパーフェクトに再生できるようになっている。それでいて、ACアダプターいらずのパスパワー駆動という手軽さも持ち合わせているのだからありがたい。
なお、フォステクスはWindows(Vista/7/8)およびMac OSX(10.7以降)で動作するフリーのハイレゾ音源対応プレーヤーソフト「FOSTEX-AudioPlayer」を用意。「HP-A4」もこちらに対応しているため、DSDファイルも設定などで手間取ることなくスムーズに再生することができる。Windowsで定番のハイレゾプレーヤーソフト「Foobar2000」などでDSDファイルを再生する場合、かなり込み入った設定が必要となってくるため、初心者でなくてもハードルが高い印象だったが、「FOSTEX-AudioPlayer」を使えば、楽曲の形式を気にすることなく再生できるようになる。これはうれしい。
使い勝手についても、良好な印象を持った。フロントパネルには、ボリュームと標準タイプのヘッドフォン出力端子のほか、入力切替、(ハイカット)フィルター切替、(ヘッドフォン)ゲイン切替、出力切替の4つのボタンが用意されている。シンプルかつ分かりやすい操作系のため、「FOSTEX-AudioPlayer」を併用すればほぼ取扱説明書いらずで使いこなすことができる。このあたりは、PCオーディオ初心者を意識した作りといっていいだろう。113(幅)×34(高さ)×155(奥行き)ミリという、比較的コンパクトなサイズも含め、なかなかに秀でたパッケージングといえそうだ。
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