国内メーカーの上位モデルが並んだ前回から一転。今回は5機種中4機種が海外製品となった。それもダイヤモンドのように輝くヘッドフォンから、某軽音楽アニメで有名になったモデルまで、個性豊かなヘッドフォンがそろっている。デザインもさることながら、音の評価も気になるところだ。
本題の前に恒例「野村ケンジの一言アドバイス」コーナー。今回は「開放型」にがテーマだ。
――今回と次回で「開放型」と「密閉型」を取り上げたいと思います。まずは開放型からお願いします。
野村氏: 開放型、オープンエアー、オープンバックといった呼び方がありますが、要はハウジングで密閉していない、開放されたスピーカーを搭載するヘッドフォンのことです。
メリットは、音の特性がスピーカーの素の特性に近いこと。特長が素直に現れため、音質的な意味では優位といえます。ひずみが少ないので空間的表現も上手。広がり感のある音になります。
このように、開放型はヘッドフォンとして理想的なスタイルですが、ハウジングを密閉していないので、当然、音は漏れます。また、外の音に振動板も影響されてしまうため、室内使用がメイン。例えばスタジオモニターでも開放型はありますが、あくまでサウンドチェック用で、レコーディングには使えません。
――開放型は高級機というイメージがあります。
野村氏: そうですね。音質を追求した高級機になるほど開放型が増えてきます。AKGの「Q701」やゼンハイザーの「HD 800」などが有名ですが、いずれも音漏れは激しいので、屋外では使えません。
――半開放型というのもありますが。
野村氏: セミオープンあるいは半開放型と呼ばれるものは、ドライバーの背面を一部ふさいで音漏れを抑制しつつ、空気の流れは妨げないようにしたもの。分類上は密閉型となりますが、密閉型と開放型のメリットを生かすために作られました。
――次回は、密閉型を掘り下げます。
3人が試聴したのは以下の5機種。価格は、Amazon.co.jpを参照している(5月7日時点)。例によって価格変動の影響を受けた製品もあるが、評価基準がぶれるのを防ぐため予定通り掲載した。
メーカー/ブランド | 製品名 | 再生周波数帯域 | インピーダンス | 感度 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|---|
ゼンハイザー | MOMENTUM | 16〜2万2000Hz | 18オーム | 110dB | 3万3738円 |
ADL | H118 | 20〜2万Hz | 68オーム | 98dB | 2万749円 |
AKG | K545 | 20〜2万Hz | 32オーム | 97dB | 1万9969円 |
AKG | Q701 | 10〜3万9800Hz | 62オーム | 93dB | 2万1789円 |
モンスター | Diamond Tears EDGE | N/A | 2万7061円 | ||
前回、評価の高かった「MOMENTUM On-Ear」の兄貴分。2012年に発売され、クラシカルな雰囲気をまとうデザインと質感で人気を集めている密閉型のプレミアムヘッドフォンだ。イヤーパッドは、アラウンドイヤー型となる。
ケーブルは片だしの着脱式で、ノーマルなケーブルとiPhoneリモコン付きの2種類が標準で付属する。ケーブル長は1.4メートル。本体重量は約180グラム(ケーブルを除く)。
オンイヤーよりも音が整っていて、基礎体力が高いものの、ダイナミックさという観点ではオンイヤーのほうがやや上。どちらが良いかはあくまでも好みの範疇(はんちゅう)。低音を強めながら、中高域をしっかりと聴かせる、現代版ゼンハイザーのサウンドアレンジはお見事。
僅差ながら、女性としては装着感、軽量さ、さらに音も含めてオンイヤーの方が好き。でも、それはほとんど個人的な問題で、好きな方を選べばいいと思います。どちらでも、きっと後悔はなし。ただ、こちらの方がよりオンイヤーよりもゼンハイザーらしさは感じられそう。
オンイヤー同様、ヘッドフォン自体が軽くて、耳全体を包み込むぶん、より装着感が気持ちがいい。音質はゼンハイザーならではのクラシックなどをしっかりと聴けるサウンドバランスを、少しチューニングした感じか。また、プラグが“I”から“L”に角度が変わるところも好印象。
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