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個性が光りまくる逸品たち――ヘッドフォン・バイヤーズガイド2014“春”(実売2万円〜3万円編)3匹が聴く!(2/2 ページ)

» 2014年05月07日 19時29分 公開
[ITmedia]
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ADL「H118」

 電源アクセサリーやケーブル類を手がけるフルテックが、自社のオーディオブランド「ADL」(Alpha Design Labs)で投入した初めてのヘッドフォン。逆三角形に近い縦長のハウジングが特徴で、耳たぶまで含めてすっぽりと収める設計になっている。

 40ミリ径のダイナミック型ドライバーは、特殊ポリマー振動板を採用。ボイスコイルと振動版との間にリングを挟み込み、発生するピークを押さえ込んだ。また、着脱式のケーブル接続部には、オリジナルの非磁性ロジウムメッキ仕様のmini XLRコネクターを採用するなど、ケーブルメーカーならではのこだわりが随所に見られる。

ADL「H118」

野村 ☆☆☆☆

表現が丁寧かつ繊細で、そのままの音を再生しようとする原音忠実仕様。アラウンドイヤーパッドながらコンパクトさを実現した、三角形のイヤーカップは個性的でおもしろい。キンキン痛々しくない、無色透明な音を楽しみたいならこちら。なかなか好きです。


坂井 ☆☆☆☆

やわらかな音でありながら、しっかりとメリハリも聴かせる。芯が残りつつも、角がなく、丸みを帯びた音って感じでしょうか。装着感も良く、ジャズのピアノ即興曲などを聴いてみると、転がるような印象で気持ちがいい。見た目はやや男性寄りかも。


滝田 ☆☆☆☆

ピアノの高音の伸びが非常にいい。余韻、臨場感もしっかりと表現していて好印象です。三角形のハウジングは、見た目が個性的なだけではなく、遮音性も高くフィット感も上々。純正リケーブルも試してみたが、さらに音の解像感が高くなってオススメ。



AKG「K545」

AKG「K545」

 昨年秋に登場したAKGのポータブルヘッドフォン。密閉型の「K550」を小型化したモデルだが、ドライバーはK550と同じ50ミリ径を採用している。

 ハウジング内に“内部ハウジング”を設け、ポートを装備することでバスレフ型エンクロージャーの役割を持たせた「インナー・バスレフ・エンクロージャー」を採用。振動板駆動時の背圧を制御する独自の「ベンチレーション・システム」と合わせ、低域の量感も確保した。

 イヤーパッドはアラウンドイヤータイプ。低反発クッション素材とプロテインレザーを採用している。ケーブルは着脱式で、アップル製品対応の3ボタンリモコンケーブルと、4極プラグ対応の1ボタンリモコンケーブルの両方が付属する。

野村 ☆☆☆☆

密閉型でありながらオープンエアーのように音が広がる、のびのびとした音場感は大きなメリット。K550と比較するとハウジングやイヤーパッドが小さくなって扱いやすくなった。サウンドやサイズのバランスがいいから持ち歩きたくなる。


坂井 ☆☆☆☆

女子にとってはこの色は渋すぎるけど、ホワイトバージョンはオシャレで好き。タイトな音で高音は固めながらも、耳に刺さらないのはさすがAKG。このクラスでありがら、基本的にパワーが必要なので、iPhoneに直接ではなくポタアンを使いたい。


滝田 ☆☆☆☆

マットで渋い色使いは本格派な雰囲気を漂わせているが、実際の音もそれに負けないほど高音質。ピアノ曲なども高音の抜けがよく、ボーカルもナチュラルに聴かせる。K550よりも扱いやすくなったサイズ感も良好。毎日でも持ち歩きたい。



AKG「Q701」

AKG「Q701」。一部では“澪ホン”などと呼ばれる

 AKGのリファレンスヘッドフォン「K701」をベースに、音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズとコラボレートによって誕生した「Q701」。2011年頃には5万円を超えるプライスタグが付いていたが、時間の経過とともに実売価格がここまで下がってきた“お買い得モデル”だ(オープンプライス)。

 アニメになってもそれと分かる特徴的なデザインは大柄に見えるが、重さは235グラムと前述の「K545」よりも軽い。カラーバリエーションは、グリーン、ブラック、ホワイトの3色が用意されている。イメージカラーはグリーンだったはずだが、アニメの影響でホワイトの人気が高い。

 振動板は2層になっていて、1つの層が振動板の不要な動きをダンピング。入力信号に対して正確なレスポンスと低ひずみを実現したという。またセルフアジャスト機能付きの本革ヘッドバンド、着脱式のケーブルなど高級機ならではの装備も魅力だ。

野村 ☆☆☆☆☆

この価格帯に出て来たこと自体が反則というほどのハイクオリティー。抜けも良くて、音質的にも隙がない。つややかなボーカルなど、自分の好みにバッチリとハマるサウンドで、ホールの臨場感からダンスのスピード感までしっかりと表現する。5万円以下の製品を含めても1、2を争う。


坂井 ☆☆☆☆

ホールで聴いているジャズとかはとにかくリアリティーを感じさせる音作りは好きです。見た目にもメッシュのハウジングはもちろん、グリーンという色はパンチがあって、個性派にはうれしいかも。装着感も軽いので長時間のリスニングにも向いている。自宅で使いたい1本。


滝田 ☆☆☆☆☆

オープンイヤーなので持ち歩けないけど、それを差し引いてもこのナチュラルでライブ感もたっぷり聴かせてくれる音作りを、この価格帯で示したのは満点以外考えられない。PCにためたお気に入りの音源をヘッドフォンアンプを通して聴くと、まさに至福の時間が過ごせるはず。



モンスター「Diamond Tears EDGE」

「Diamond Tears EDGE」

 ダイヤモンドカットのアクリルカバーがきらびやかに光る、超個性的なヘッドフォン。2PM、2AM、Wonder Girlsなどを生み出した韓国の音楽プロデューサー、J.Y.Parkとモンスターのコラボレーションで誕生した。ブラックやゴールドといった数量限定のカラーバリエーションも登場したが、現在はクリアー(写真)とブラックを販売している。

 ハウジングは密閉型で、イヤーパッドはアラウンドイヤータイプ。重量は338グラムとなっている。なお、製品パッケージには美しい輝きを保つための専用クリーナーが同梱(どうこん)されている。

野村 ☆☆☆☆

とにかくインパクトがある見た目ながらも、意外に音色傾向はオーソドックス。低域がよりディープに仕上がっていて、高域がカリカリとした感じながら、帯域バランスは悪くない。誰もが装着できるデザインではないけど、その分10代にはうれしいセンスかも。


坂井 ☆☆☆

見た目はメルヘンチック。クラブシーンでも目立ちたがり屋のDJなどで装着している人がいた。日常ユースというよりは、“衣装”として考えると十分アリかもしれない。実際に装着してみると意外とケバケバしくならないのはいい。素材感をもう少し高めると良いのでは?


滝田 ☆☆

正直、誰が装着できるのか思い浮かばない。タウンユースではあまりにもインパクト過多で、装着している人がいたら、ゴスロリ系の人と同じような感じで見てしまうかも。音もこの価格帯としては不十分。透明のダイヤモンドカットも、どうせならもう少し透明感やきらめき感を。



まとめ

“澪ホン”強し

 満点は出なかったものの、AKG「Q701」が14点を獲得してトップに立った。確かな実力に加え、野村氏のいう通り「この価格帯に出て来たこと自体が反則みたいなもの」というコストパフォーマンスの高い製品だ。開放型のため利用シーンは限られてしまうが、自宅でじっくり音楽を楽しむために1本欲しくなる“Good Buy”製品である。

気配りの人、野村ケンジ氏からの差し入れ。おやつの時間はまだ続くようです

ちなみに男性が「Diamond Tears EDGE」を装着するとこうなります

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