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実は粒ぞろいの価格帯?――ヘッドフォン・バイヤーズガイド2014“春”(実売1万円〜2万円編)3匹が聴く!(1/2 ページ)

» 2014年05月02日 22時24分 公開
[ITmedia]
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 耳の肥えた3人のレビュアーが注目のヘッドフォンを価格帯別に評価するバイヤーズガイド。今回は1万円から2万円のオーバーヘッド型を取り上げよう。比較的手に入れやすい価格帯ながら、ラインアップを見ると話題になった人気の製品がそろっている。しかし、人気があろうとなかろうと、あくまで自分の耳でシビアに音を判断するのが3匹の特性。その結果は?


 その前に恒例「野村ケンジの一言アドバイスコーナー」。今回は前回の「アラウンドイヤー型」に続き、「オンイヤー型」がテーマだ。

――お待たせしました。今回は「オンイヤー型」です。

野村氏: 前回の「アラウンドイヤー型」と同じくヘッドフォンの耳に接する部分「イヤーパッド」の形状を表す用語です。オンイヤー型は耳の上にのる形状で、“ポータビリティー”というイヤフォンのメリットをヘッドフォンでも実現しようとしたもの。ハウジングを小さくして可搬性をあげた派生的なモデルといえます。カセットウォークマンの付属ヘッドフォンなどが先駆けといえるでしょう。

 オンイヤー型のメリットは、本体が小さくできて軽快、持ち運びに便利ということです。もう1つ、偶然の産物ではありますが、アラウンドイヤー型より振動板が耳の近くに置けるため、よりダイレクト感の高いサウンドになるという利点もあります。

 一方のデメリットとしては、装着時に耳の軟骨を圧迫する形状のため、長時間使用すると耳が痛くなることがあります。

――“音漏れ”についてはいかがでしょう。

野村氏: 以前は音漏れしやすい製品が多かったのですが、低反発ウレタンフォームなどを使うことで耳型に合うようになり、以前ほどはデメリットになっていません。ただし、どのようなヘッドフォンでもボリューム次第では音漏れの可能性はありますので、外出時には注意したいですね。

 そんな気配りの人、野村氏を含む今回のレビュアーは以下の3人だ。

レビュアー紹介

野村ケンジ(のむら けんじ)

弊誌連載「ぶらんにゅ〜AV Review」でおなじみ、年間500本を超えるイヤフォン/ヘッドフォンを試聴・評価する気鋭のオーディオライター。某レーベルのアニソン・ハイレゾ配信を影で支えるスーパーバイザーでもある。


坂井香(さかい かおり)

タレント/モデル/DJ/ヘッドフォン女子。DJ名「@KAOPANGw」(かおぱん)としても知られる。音大出身で特技はピアノ。一方、筋トレやマラソンが好きというアクティブな一面もあり、最近ついにフルマラソンを完走した。拍手。


滝田勝紀(たきた まさき)

弊誌連載「白物家電、スゴイ技術」担当ライター。約10年間、某モノ雑誌編集部で白物家電やヘッドフォン担当として活躍した後、フリーランスに。「All About」では家電ガイドとして活動、「家電AWARD」の審査員も務める。



 3人が試聴したのは以下の5機種。価格は、Amazon.co.jpを参照している(5月2日時点)。「MOMENTUM On-Ear」のように、企画当初に比べて価格が上昇したケースもあるが、評価基準がぶれるのを防ぐため予定通り掲載したい。なお、1万9000円前後で販売しているショップも散見されるため、ショップごとの価格差の範疇(はんちゅう)と思われる。

メーカー 製品名 再生周波数帯域 インピーダンス 感度 実売価格
オーディオテクニカ ATH-A900X 5〜4万Hz 42オーム 100dB 1万3230円
JVC HA-MX10 10〜2万8000Hz 56オーム 108dB 1万1793円
オンキヨー ES-HF300 10〜2万7000Hz 32オーム 97dB 1万6920円
ソニー MDR-1RMK2 4〜8万Hz 24オーム 105dB 2万651円
ゼンハイザー MOMENTUM On-Ear 16〜2万2000Hz 18オーム 112dB 2万2422円

オーディオテクニカ「ATH-A900X」

オーディオテクニカ「ATH-A900X」

 「アートモニター」シリーズのミドルレンジモデル。発売は2011年のため、入れ替わりの激しい近年のヘッドフォン市場ではロングセラーといえる。

 剛性の高いアルミニウムハウジングにAシリーズ専用設計の53ミリ径ドライバーを搭載し、広帯域再生と明瞭(めいりょう)な音色を目指した。ボイスコイルはOFCボビン巻。振動板に接続しているボイスコイルをOFC素材のボビン(紙状の筒)に巻き付けることで形状の安定と量を確保し、再生力を向上させた。

 独自の「3D方式ウイングサポート」に加え、イヤーパッドに上位機「ATH-A1000X」と同等のものを使用するなど、装着感も追求している。片だしのコードは3メートル。

野村 ☆☆☆

発売してからやや時が経っているため、最新のサウンドに比較するとやや古い印象はぬぐえないが、それでもクオリティー的には決して遜色はない。いかにもオーテクらしい、明瞭度の高いシャンとした音が特徴的で、この音がマッチする人にとっては手放せない1本。


坂井 ☆☆☆

オーテクって一般の人にとっておなじみだけど、こちらはプロ仕様のルーツを感じさせる仕様で、とても良いヘッドフォンだと感じた。装着感はとても良好だが、女性にとってはややハウジングが大きめ。ヘッドフォンの重みですり落ちることもあったのが少し残念。


滝田 ☆☆☆☆

包み込むような装着感は非常によい。ウイングサポートが付いているぶん、このサイズ感のわりには圧迫感もないので長時間の試聴でも聴き疲れなし。高音域から低音域まで素直に音を再生する印象で、ジャンルを問わず、あらゆる音楽を気持ちよく聴かせてくれる。



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