東京ドームシティにオープンする宇宙ミュージアム「TeNQ」(テンキュー)には、球形ロボット「sphero」(スフィロ)で遊ぶアトラクション「アストロボール」が設けられる。7月8日のオープンを前に行われた内覧会には、スフィロのソフトウェア開発を担当したアダム・ウィルソン氏が登壇してスフィロ開発の経緯を語った。
スフィロは、手のひらサイズのボールに加速度計やジャイロセンサーを搭載した球体ロボットだ。Bluetoothを介してiOS/Android端末から操作が可能で、秒速2メートルで転がり、傾斜のある道もぐいぐいと上る力がある。2011年に米国で発売され、日本では新製品「sphero 2.0」の登場に合わせて昨年9月から一部店頭やネット通販で手に入るようになった。
スフィロを開発・販売しているのは米国コロラド州に本拠を置くOrbotix。Ian Bernstein(イアン・バースティン)とAdam Wilson(アダム・ウィルソン)という2人のエンジニアが立ち上げたゲームロボットのベンチャーだ。
田舎町に育ち、映画「ターミネーター」やSNES(スーパーファミコン)に多大な影響を受けたという同氏。ロボット開発でもとくにソフトウェアに興味を持ち、バースティン氏が「TechStar」(テクノロジー関連の投資プログラム)出場を持ちかけたときは、NASAのインターネット制御ロボット開発プロジェクトに携わっていたという。「宇宙で活動するロボットには上も下もない。スフィロに似ているでしょう?」。
ウィルソン氏によると、スフィロ開発のきっかけは2009年に登場した「iPhone」だったという。「誰でも使えるユニバーサルなロボットが作りたいと考えていたときにiPhoneが出た。プロセッシングが可能で通信もできる。この小さなコンピュータデバイスで僕らが作ったロボットを操作できると思った」(同氏)。
2人は、TechStarで調達した資金を元手に初の製品となるスフィロを送り出し、数年後には奇しくも宇宙をテーマにしたミュージアムで活躍することになった。実は、スフィロの姿勢制御は加速度計とジャイロによるもので、ロケットの慣性センサーと基本的な仕組みは同じ。東京ドームシティでは、「スフィロに宇宙開発とのつながりを感じた」としているが、おそらく偶然ではない。
もっとも、スフィロが地球の外で活躍する予定は今のところなさそうだ。「NASAには、スフィロにソーラーパネルを取り付け、“一人旅”をさせるアイデアを持ち込んだことがある。今のところ、話が分かる担当者とは出会えていないんだけどね」(ウィルソン氏)。
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