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平井社長に聞いた“ソニーの現在”――4Kにハイレゾ、そしてPlayStation 4のこと(1/4 ページ)

» 2014年09月05日 15時05分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 昨年のIFAで、ソニーの平井一夫社長兼CEOは、多くのユニークな新製品を投入した。ユーザー体験レベルの引き上げを重視した高付加価値商品への注力と、“ベストオブソニー”を集めた「Xperia Z」シリーズを中心に据えた経営資源の集中という方針を商品ラインアップで示したのだ。社長に就任し、直接手をかけた製品が登場し始めてから1年が経過した現在、平井氏は現在のソニーをどのように捉えているのか。記者会見翌日に平井氏とソニー・ヨーロッパの玉川勝社長を取材した。なお、取材は複数の記者により共同で実施されたものだ。

ソニーの平井一夫社長兼CEO(右)とソニー・ヨーロッパの玉川勝社長(左)

――発表会では、欧州におけるテレビの売上げが70%伸びたと発表されましたが、この70%とは何に対する数字なのでしょうか。また、伸びた理由として、ソニー独自の高画質、高音質化技術が消費者に浸透したという話がありましたが、ユーザー体験重視の商品開発がソニーの存在感を高め、業績へと反映された例を教えてください

平井氏:”感動軸”でソニーの業績が伸びた事例は、直近でいえば「PlayStation 4」(以下、PS4)がありました。PS4は実売で1000万台を超えたことをアナウンスしています。この数字はPS4が市場に受け入れてもらえたことを意味していると思います。SCEのアンディ・ハウスがPS4のために取り組んできたゲーム、インタラクティブエンターテインメントの仕掛けがここで花開いたといえるでしょう。

 レンズスタイルカメラの「QX」シリーズや、ハイレゾオーディオ関連商品も”感動軸”を重視した商品です。ハイレゾオーディオに関しては、積極的に商品開発を行い、品質面でも掘り下げています。日本とアジアを中心に現在、盛り上がってきています。

光学30倍ズームや2040万画素CMOSを搭載したレンズスタイルカメラ「DSC-QX30」

平井氏:デジタルイメージング分野も同様です。ローエンドのデジタルカメラの役割をスマートフォンが奪っている中で、感動軸を重視したカメラが市場に評価されました。「α7」「α7R」に加え、「α7S」を発売できたことは誇らしいことだと思います。40万を超えるISO感度のカメラは、それまでにない価値を生み出してくれました。

 もちろん、Xperiaシリーズに関しては、何よりユーザー体験を重視しています。感動を与える商品作りという一貫したメッセージに対し、社内のエンジニアが応えてくれた結果です。

玉川氏:テレビが欧州で70%伸びた理由は、戦うべき領域を明確にして、そこに合った商品を出せたためです。この数字は台数ベースで、とりわけ50V型以上の大型テレビで高付加価値製品が評価された結果です。商品の内容としては、まだフルHDテレビが中心で、4Kテレビの本格的な立ち上げは今年。そうした意味では、今年はさらに高画質化技術を多く盛り込んだ4Kテレビの売上げ貢献が期待できます。

カーブドスクリーンのブラビア

――子会社化されたテレビ事業に関して追加の収益改善策は?

平井氏:コスト構造という面でいえば、テレビ事業単体での効率化はすでに徹底されています。セールスマーケティングのコスト削減も進んでおり、さらに各地域ごとの販売会社の構造見直しもかけています。すでに発表済みですが、米国では3000人を超える人員がソニーを離れています。同様に販売会社のコスト構造が必要な地域に関しては見直しを進めています。一方で事業の改善はコスト削減だけではなし得ません。商品の魅力を強化することが重要ですから、今回発表したカーブドスクリーン(湾曲画面)の4Kブラビアのような高付加価値製品に取り組むと共に、画質、音質を極めていくことに力を入れていきます。

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