今年も家電の総合展示会「IFA 2014」がドイツのベルリンで開催された。もともとは隔年開催で欧州向けのローカルな展示会という位置付けだったIFAだが、ここ数年急速に存在感を増して毎年開催になると、各出展者がこぞって新製品や新技術を披露する場として活用し始めた。
テレビ製品についてもこの傾向がここ数年続いているが、やはりローカル色の強さは引き続き残っている。大手メーカーながら日本や北米でのプレゼンスがほとんどないトルコのVestelが出展していたり、ドイツの地場メーカーが多数ブースを構えていたりと、やはり「欧州での市場傾向をみる」という性格が強い。ここ数年は新技術発表の場としても活用されていたものの、今年はやや手詰まり感があり、再びローカル色が強くなって「欧州向け製品ローンチの場」になった印象がある。目立つ新技術などはほとんど発表されず、「来年のCESに持ち越し」という形だ。「世界市場をターゲットにした新製品発表はCES、欧州向けの製品展開はIFA」というすみ分けがはっきりしつつある、というのが今年のIFAの感想だ。
この手詰まり感を最も感じたのが韓国Samsung(サムスン)で、同社の今年の目玉として曲面テレビを中心に展示ブースが構成されていたものの、“曲げられる”テレビこと「Bendable Curved UHD TV」はCESの展示を切り出したものであり、今年1月のCESと大きく変わるものではない。期待されていた有機EL(OLED)テレビも位置付けが大幅に後退しており、ブースの隅でひっそりと展示されている状態だ。
今回、サムスンはIFA会場となるMesse Berlinに新たに建設されたCityCubeという展示ホールをほぼ独占的に使用し、駅から会場までの広告となる宣伝旗をほぼSamsung一色に染めるなど、大々的に宣伝予算を投下していたようだが、テレビ製品に関してのメッセージ性は弱かったといっていいだろう。
一方で、もう1つの目玉となるスマートフォン製品では「Galaxy Note 4」「Galaxy Note Active」「Galaxy Edge」といった人気製品のバリエーションを多数発表するなど、こちらは非常に盛況だった印象がある。Swarovski(スワロフスキー)やMont Blancとのコラボレーションモデルも登場したり、Galaxy Note 4でOculus VRを楽しむためのキットのコーナーでは行列ができるなど、話題の多くはスマートデバイス側に偏っていたといえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR