昨年夏、高らかに復活が宣言された「Technics」(テクニクス)。その主力第1弾シリーズとなるプレミアム・クラスの「C700シリーズ」の発売が先頃始まった。このシリーズの音を「パナソニックセンター東京」のテクニクス試聴室でじっくり聴く機会を得たので、今月はその概要とインプレッションをお伝えしたいと思う。
松下電器産業(現パナソニック)の高級オーディオ・ブランドとして1965年に誕生したテクニクスは(デビュー作は密閉型2Wayスピーカー)、40代以上のオーディオファンにとってはさまざまな記憶を呼び覚ます、忘れられないブランドの1つといっていいだろう。
世界初のダイレクトドライブ方式ターンテーブルや世界中のスピーカーメーカーに多大な影響を与えたリニアフェイズ型システム、プレミアムコンパクトなコンサイスコンポなど、歴史と記憶に残る製品は数多い。ピッチコントロール機能を持つことでDJに愛用され、ユースカルチャーを牽引したアナログプレーヤー「SL-1200」 に強い愛着を持つ音楽ファンもきっと多いに違いない。
「SL-1200」の大ヒットでテクニクスが音楽好きの若者たちの憧れのブランドとなり、原宿のお洒落なセレクトショップ、ビームスで「Technics」ロゴ入りTシャツが飛ぶように売れているのを目撃したのは、かれこれ15年ほど前のことになるだろうか。
さて、本格オーディオ・マーケットが先細りしつつある2015年にテクニクスを復活させたその理由を企画・開発陣に問うと、やはりそのきっかけとなったのは、CDフォーマットを超えるハイレゾファイル配信の隆盛だという。デジタルオーディオの目的が「便利さ」に収斂され始めた頃にテクニクスの灯は一度消えかかったわけだが、ここにきて本格化しつつあるハイレゾファイルによる高音質デジタルオーディオの盛り上がりが“テクニクス再び”のトリガーとなったようだ。
では、C700シリーズを構成する各コンポーネントを紹介しよう。ソース機器として用意されたのは、USB-DAC機能付きネットワークオーディオプレーヤーの「ST-C700」とCDプレイヤーの「SL-C700」だ。ST-C700はUSBメモリーとPCとのUSB接続が可能で、ネットワーク経由を含め192kHz/24bit PCM 、5.6MHz/1bit DSD までのハイレゾファイルの再生が可能だ(PC接続時のみ32bit信号にも対応)。USB、LAN 入力ともに吟味されたフィルターやジッターリムーバーが搭載され、ノイズ対策に万全を期した高音質対策が施されている。また、ネットワーク再生用にスマート端末を用いて直感的な操作フィーリングを実現する「Technics Music App」が用意されているのも注目ポイントだ。
CDプレーヤーの「SL-C700」は、CD専用等倍速ドライブメカを搭載、サーボ量を減らして高音質化を図る独自手法が採られている。また、44.1kHz/16bitのCDデータを最大176.4kHz/32bitに変換するパナソニック製BDレコーダーで定評のあったリマスター機能も搭載されている。
システムの中核をなすのが「SU-C700」 。テクニクスならではの最新デジタル伝送&信号処理技術を盛り込んだ、フルデジタル駆動方式を採用したプリメインアンプだ。本機も192kHz/32bit PCM 、5.6MHz/1bit DSDに対応したUSB-DAC 機能を有しており、本機とPCとの組み合わせで、すぐさまハイレゾファイル再生が可能になる。USBタイプB端子のほか同軸×3、光×1のデジタル入力に伝送された音楽データは、出力段のローパスフィルター直前までフルデジタル信号処理される(A/D コンバーター経由するアナログのフォノ入力とライン入力も1系統ずつ用意される)。
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