ソニーのデザインを象徴する歴代の製品を写真とともに展示する「Sony Design: MAKING MODERN 〜原型づくりへの挑戦〜」が東京・銀座のソニービルで4月29日から開催される。1960年代以降の懐かしいソニー製品21機種の実機に加え、新たに撮影した多数の写真で、ソニーのデザインフィロソフィーに触れられる展示会だ。
この展示会は、洋書「Sony Design: MAKING MODERN」(Rizzoli International Publication刊)の発売を記念したもの。同書はソニーのデザイン室が設立50周年を迎えた2011年に企画され、4年かけて完成にこぎつけたという。4月末に米国で発売予定。今のところ日本語版は予定していない。
前日に行われた内覧会では、ソニー クリエイティブセンターの長谷川豊センター長やプロダクトデザイナーでデザイン会社OeOのクリエイティブディレクターを務めるThomas Lykke(トーマス・リュッケ)氏らによるトークセッションが行われた。
2人は“お気に入りのソニーデザイン”をそれぞれ挙げた。長谷川氏が選んだのは、1970年代に人気を集めた“BCL”(Broadcast Listening)ラジオの「スカイセンサー5800」だ。スカイセンサーシリーズは、短波チューニングの微調整ダイヤルを前面に大きく配置するなど、プロ用機器を思わせる本物志向のデザインが特徴。長谷川氏は、「プロフェッショナリズムをいかに一般ユーザーに楽しんでもらうか。(ソニーは)プロと一般ユーザーのつながりを作った」と指摘する。「細かい所の使い勝手やコックピットをイメージした取扱説明書など、今でいうUX(ユーザーエクスペリエンス)を体感させるデザインになっている」。
一方のリュッケ氏は、1983年に発売された「スポーツウォークマン」を挙げた。アウトドアやスポーツユースに向けてデザインされた初めての防水仕様ウォークマンで、従来のオーディオ機器にはなかった派手なイエローボディーが印象的。またバックルとパッキンの造形で堅牢さを表し、操作ボタンは手袋をしたままでも操作できる大きさと配置になっている。
12歳の時にスポーツウォークマンを購入したというリュッケ氏は、「いつでもステレオを体験できる柔軟性の高い製品だった」と話す。さらに「ソニーのデザインには、ソニーならではのキャラクターがある」と指摘。「ソニーはテクノロジーカンパニーだが、プロダクトとデザインにヒューマンな部分を残しながら作っている。エモーショナルな部分がソニーデザインの魅力だ」(リュッケ氏)。
これに対して長谷川氏は、「ヒューマニティといった部分を意識することはないが、製品に対しては思い入れがある。タテヨコの定義(=画一的な製品設計)だけで作ってはいない。それがヒューマニティーにつながるのではないか」と話していた。
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