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数字が示す激動のアジア・モバイル端末市場、今後のトレンドは“中間層”?――IFA GPCリポート(2)本田雅一のTV Style:(1/2 ページ)

» 2015年05月08日 12時13分 公開
[本田雅一ITmedia]

 地中海にあるマルタ共和国で開催されたベルリンメッセ(国際展示会IFAの主催団体)のGlobal Press Conference(IFA GPC)。今年は55カ国から300人を超える記者が集まった。それだけに話題は多彩でグローバル視点に富んでいるが、その中でもこの10年で急激に市場環境が変化してきたアジア市場に関しては、例年、Gfk Asia Pacificのアナリスト、Gerard Tan氏のリードでトレンド分析のレポートとディスカッションが交わされる。

Gfk Asia Pacificのアナリスト、Gerard Tan氏

 IFA GPCレポートの2回目は、アジアのデジタル家電をスマートフォンなどのネットワーク端末中心に見ていくことにしよう。いずれも引用しているデータはGfkによる最新のものだ。

スマホの拡大と金額の下落

 まず市場構成の大枠が、2013年から2014年でどのように変化したか。アジア太平洋地域の製品売上げは、携帯電話/スマートフォンについては昨年同等(1580億ドル)だったものの、一般的なデジタル家電製品(テレビ、プレイヤー、オーディオ製品など)が7%ダウン、デジタルカメラ製品が20%ダウン、PCおよび関連周辺機器市場が7%ダウンと、大幅に売上げが落ちた。

2013年から2014年にかけては各分野のローエンド製品が強く、市場全体の売上げを押し下げた

 すなわち金額ベースでは売上げが減少したことになるが、主因は売上げに対するスマートフォン比率のさらなる上昇と、主要なデジタル製品となったスマートフォンの販売単価下落が同時に進んだためだ。

 ご存知の通り、スマートフォンの売上げ伸長は、あらゆるデジタル家電の売上げ減少を招いているが、これまではスマートフォンの販売が伸び続け、(アジアにおける)デジタル製品市場は伸びてきた。ところが、市場全体の4割を超えているスマートフォン価格が大幅下落したため、他製品の縮小を補い切れていないわけだ。

 とりわけデジタルカメラ市場の縮小が厳しい。現時点でレンズ交換式ミラーレスカメラは健闘しているが、縮退が著しいコンパクトカメラはもちろん、一眼レフカメラに関してもマイナス成長となってきたのが理由という。

 また家庭向けPC市場はアジア地区で底堅さを見せていたものの、スマートフォンの単価下落や端末性能の強化などから、アジアの隅々にまで本格的にスマートフォン普及のトレンドが拡がっている。圧倒的な価格低下の並の中で、アジアの国々では日々、新しいブランドが伸びてきている。これらのトレンドが、PC市場に影響を与えているのだろうか?

 と、実はここで面白いデータをTan氏が示した。

 ”Connected Device”、すなわちインターネットに接続できる機器(テレビやワイヤレスプリンタなども含む)の販売台数の統計だ。2010年、ネットにつながるデジタル機器は2億台に満たなかった。ところがこの数字は2014年、8億台に迫ろうとしている。たった4年で5億6600万台も増えた理由がスマートフォンによるイノベーションの結果であることは疑いない。

インターネットに接続できる機器は激増している

 さらに興味深いのはもう1つのデータ。インターネット接続された”モバイル”デバイスの比率を、画面サイズごとの構成比にしたグラフである。

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