5月16日と17日の2日間、恒例「春のヘッドフォン祭」が中野サンプラザで開催されている。メーカーの新製品発表会が複数行われるほか、開発中のモデルが多数参考展示されるなど、オーディオ業界のトレンドを占う重要なイベントだ。そして今回の「春のヘッドフォン祭」は、“ハイレゾ”の動きをより一層盛り上げるかのように、数多くの新しいプレイヤーが出展された。一部ハイレゾ非対応モデルを含め、11種を紹介しよう。
中でも最も注目を集めたのが、ポータブルハイレゾプレイヤーの雄であるAstell&Kernのハイエンドモデル「AK380」だ。ドイツ・ミュンヘンで開催中のオーディオショウ「HIGH END 2015」で発表された同モデルは、ジャパン・プレミアと位置づけられる「ヘッドフォン祭」でもトップを飾る注目ぶりを見せている。
内部構成の大きな変更点として、新たに旭化成エレクトロニクスの32bitDACチップ「AK4490」を採用している。AK4490は”audio4pro”ブランドのDACチップで、エソテリックの高級SACDプレイヤーやマランツのハイエンドAVアンプなどにも採用されているものだ。
機能面ではネイティブでPCM 384kHz/32bit,、DSD 128(5.6MHz)をサポートし、出力は2.5mmの4極バランス駆動に対応した。その上で更にWi-Fiを使ったDLNAのサーバ/クライアントにも対応している。専用アプリ「AKコネクト」を用いたリモート操作では、ポータブルのWi-FiネットワークにAK380とスマホをぶら下げ、AK380本体をカバンやポケットに入れたままスマホで操作するといった使い方も提案する。「AK240」にあった専用設計のポータブルアンプも健在だ。
さらに専用周辺機器として、今回はクレードルが用意された。XLR出力を1系統備えているため、据え置きの大型コンポーネントに接続するといった使用法が提案されたほか、クレードルに接続する専用のCDリッパーで、PCレスの運用も可能となっている。発売時期は未定、参考価格は税別で3499USドル。
AK380と同じDACチップ「AK4490」を搭載したプレイヤーがもう一台国内発表され、こちらも注目を集めた。中国発の新興ブランドであるLuxury&Precisionの「L5」だ。こちらもやはりPCM 384kHz/32bit、DSD 128(5.6Mhz)にネイティブ対応する。DACチップをはじめとして、多くの電子パーツが日本製であることもコダワリポイントの1つ。本国では今年の2月に発売済みで、価格は4000元(約600米ドル)とのこと。現在は日本国内での発売に向けて、exFATへの対応を含めたファームウェアのブラッシュアップ中だという。発売時期は未定。
同じサンプルレートに対応するものとして、ヤマハブースとFinal Audioブースに挟まれた「Calyx M」にも注目だ。こちらの特徴は、フルサイズとmicroサイズの2つのSDスロットを備えていること。それぞれ256Gバイト、128Gバイトまで対応しており、内蔵する64Gバイトの記憶域と合わせて、合計で448Gバイトの容量をカバーする。搭載DACはESS製「ES9018K2M」だ。Calyx Mは既にフジヤエービックなどで販売しており、専用ケースを合わせて10万円以内で手に入るという。
日本国内の代理店を持たない中国Questyleも、日本のユーザーに向けて意欲的な製品を出品していた。同社が持ち込んだ「QP1」は、PCM 192kHz/24bit、DSD 128のネイティブ再生をサポートし、底部には128Gバイトまで対応するmicroSDスロットを2基備えている。
操作系はiPod風の円形インタフェースで、上部に独立したボリュームダイヤルが付いている。バッテリーはメーカー公称値で8〜10時間の駆動時間を確保しているほか、可逆圧縮形式であるMonkey’s audio(.ape)をサポートしているのも大きな特徴だ。アップル製品などの製造で知られるFoxconnがアセンブリを担当しており、今年9月の国内発売を目指しているという。
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