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ハイエンドから変わり種まで――ヘッドフォン祭で見つけたポータブルプレイヤー春のヘッドフォン祭2015(2/3 ページ)

» 2015年05月17日 13時47分 公開
[天野透ITmedia]

 オヤイデが扱うFiioブランドのDAP「X3」も第2世代となっての発売を控えている。対応サンプルレートはやはりPCM 192kHz/24bit、DSD 128(ネイティブ)で、こちらも .ape に対応する。Fiioといえばポタアン黎明期に低価格の製品を投入をしてきたことでも知られるブランドだが、充実した内容にもかかわらず、今回の「X3 2nd generation」でも実売予想価格が3万4000円と戦略的な価格を提示してきた。

コストパフォーマンスに優れる「X3」。庶民の味方となるか

エントリーモデルやPCMに注力したモデルも充実

 トップウィングが扱うLotooブランドからは「PAW GOLD」に次ぐモデルとして「PAW5000」が発表された。PAW GOLDはDSD 128(5.6MHz)の再生が可能だったが、PAW5000はDSD 64(2.8MHz)のPCM変換再生として低価格化を図ったモデルだ。ケースはGOLDがアルミ削り出しだったのに対して、5000はプラスチックとなっているが、一方でピッチチェンジャーやBluetoothなどの上位モデルにはない機能も備えていたりする。Lotooでは自社でファームウェアを開発しており、例えばMicroSDXCの規格上限(2Tバイト)まで対応するといった強みを持っている。発売予定時期は6月下旬、6万円前後での販売を想定しているという。

Lotoo「PAW5000」(左)と「PAW GOLD」

 DAPの老舗ブランドであるCOWONからは、昨年秋に発売された「PLENUE 1」の下位モデルである「PLENUE M」が持ち込まれた。DACチップはバーブラウンの「PCM1795」で、上位モデルとは異なる(PLENUE 1はPCM1792A)が、PLENUE 1よりもDACが省エネ化しているため、バッテリーの保ちが良くなって再生時間は長くなった(8時間半から10時間へ伸びた)。そのほか内蔵メモリが64Gバイトに減っているが、それでも対応サンプルレートはどちらも同じで最大384kHz/32bit(176k/192kHzにダウンサンプリングして再生する)、どちらもPCM変換によるDSD再生をサポートしているといったように、機能面での差は少ない。発売予想価格は8万9800円前後(PLENUE 1は12万8000円)。ケースのダイヤモンドカット処理などの違いでも価格差が出ているという。

COWON「PLENUE M」

 今年2月のポタ研で発表されたAcoustic Reserchの「AR-M2」は、今回が製品版の初披露となった。対応サンプルレートは最大で192kHz/24bitだが、PCM変換によるDSD再生をサポート。また、ポータブル機でありながら44.1kHz系と48kHz系の2種類のマスタークロックを用意するといったコダワリもある。中にはイベント中に試聴して、そのまま特売会場へ向かった参加者もいたという。

ポタ研で発表されて発売が待たれていたAcoustic Research「AR-M2」。PCMの音を磨いたプレイヤー

 なお、アナログボリュームの感度が高く、バッグやポケットに入れていると急に音量が大きくなってしまうといった意見や、専用液晶保護フィルムがほしいといった声もメーカーに届いているそうだ。このようなユーザーの声を集めて、今後アクセサリーで対応をしたいとしている。

 DSDを長年研究しているKORGからは、PC用音楽ソフト「AudioGate」のiOS版である「iAudioGate」が発表され、iPhoneでのハイレゾ再生に新しい提案が行われた。

apple watchとKORG「iAudioGate」の連携デモ

 PC版を完全移植した上、ポータブルの利便性も付加したという製品で、会場ではiPhone 5とiPhone 6を使ったデモを行っていた。なお、iPhoneの世代によってDSDの対応サンプルレートに差があり、今のところiPhone 5はDSD64(2.8MHz)、iPhone 5sではDSD128(5.6MHz)、6以上で256(11.2MHz)まで対応するというが、まだソフトウェアの調整中だという。またAppleWatchでのリモート操作に対応しており、再生/停止、EQの切り替えなどを手元で行えた。現在は7月前後のリリースを目指して改良を進めている。

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