世田谷のNHK放送技術研究所での研究成果を公開する場として毎年開催される「技研公開」が、今年も31日まで開催される。初日にあたる26日はプレスデーとして、展示内容が報道陣に公開された。今年は”究極のテレビへ、カウントダウン!”というテーマの下、来年に迫った8Kスーパーハイビジョンの試験放送に関連する技術が数多く公開された。
1階エントランスを抜けてすぐのエリアでは、8Kの制作、転送、受信までの一連の技術が公開される。撮影に用いるカメラでは、重量がわずか2キログラムという小型の8Kカメラが展示された。撮影素子はベイヤー配列のスーパー35ミリ単板式で、レンズはツァイスのコンパクトプライムを用いている。従来の8Kカメラは報道用の大型三脚を要するかなり大型なものが主流だったが、今回展示されたカメラは市販の民生用ビデオ三脚に乗るサイズまで小型化されていた。フレーム周波数もスーパーハイビジョンの規格で要求される120Hzをサポートしており、スポーツ中継やドラマ撮影といった、小さなサイズを活かした現場での活用を期待しているという。
従来はかなり大型だったディスプレイも、小型化の提案がされていた。パナソニックとの共同開発では民生用テレビで一般的な55インチサイズの液晶ディスプレイ、半導体エネルギー研究所と共同開発では世界最小となる13.3インチの有機EL 8Kディスプレイがそれぞれ参考展示されていた。
55インチ液晶は、パナソニックのIPS - Pro技術を用いたパネルを使用しており、色域はDCIとAdobe RGBを100%カバーしている。フレーム周波数は120Hzだ。55インチというサイズを活かし、一般家庭のテレビはもちろんのこと、大判であるA0用紙がほぼ原寸大で表示できることから、製図業務などへの応用も視野に入れているという。
一方の13.3インチ有機ELは、白色タンデムOLEDにトップエミッションとカラーフィルタを組み合わせた構造だ。iPhone 6の倍以上となる664ppiの超高画素密度パネルで、フレーム周波数は60Hz。“手のひらにのる8K“”としてタブレット端末などへの採用をにらむ。
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