ITmedia NEWS >

オンキヨーから初のカスタムIEMが登場――遮音性を3段階で選択可能コンセプトは装着性と短納期(1/2 ページ)

» 2015年06月16日 19時02分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 オンキヨーブランドから初のカスタムIEM(インイヤー・モニター)3機種が登場する。イヤフォン開発で協業しているシーメンス(社名はシバントス)の技術と販路を活かし、これまでのカスタムIEMで課題とされてきた装着感や納期といった部分にメスを入れた。「IE-C1」など3機種を7月17日に発売する。

オンキヨーのカスタムIEM

型番 IE-C1 IE-C2 IE-C3
ドライバー シングルBA 2Way2ドライバー 3Way3ドライバー
感度 107dB/mW 115dB/mW 113dB/mW
インピーダンス 70オーム 75オーム 12オーム
ケーブル 着脱式(MMCX)約1.2メートル
プラグ 3.5ミリステレオミニ(金メッキ)
付属品 キャリングケース、クリーニングブラシ
実売想定価格 5万9800円前後 7万9800円前後 11万9800円前後
発売日 7月17日(先行予約特別価格あり、後述)

 カスタムIEMは、完全オーダーメイドのイヤフォン。ユーザーの耳型を採取して製作するため耳穴にぴったりと収まり、高い遮音性を実現する。もともとプロミュージシャンがライブなどで使用するモニタースピーカーの代わりとして誕生したが、現在は音楽を楽しむ方法の1つとして広がりつつある。発表会であいさつに立ったオンキヨー&パイオニアイノベーションズの宮城謙二社長は、イヤフォン市場で高価格帯の構成比が伸張していることなどを挙げ、カスタムIEMの市場は2016年に年間3万台規模にまで拡大すると予測、「今後も価格に見合って伸びる市場だと思う」と期待を寄せた。

国内のカスタムIEM市場規模。2014年から2015年にかけて金額は3倍、数量も1万5000台規模にまで拡大したという

シェルは12種、ケーブルは3色から選べる

 オンキヨーでは、既存のカスタムIEMファン層に加えてオリジナリティーの高いイヤフォンを求める一般ユーザー層にまで市場を広げる考え。遮音性を高めることで音漏れを防ぐとともに、ユーザー自身も必要最小限の音で聴けるカスタムIEMの認知度を上げることで「若年層の耳を守る狙いもある」(宮城氏)。

耳元にある高級スピーカー

 新製品のカスタムIEMは、バランスド・アーマチュア型ドライバーを1〜3基搭載する3機種をラインアップ。BAドライバーをシリコン製クッションで包み、柔らかめの接着材で筐体に固定する「フローティング構造」により、不要振動と共振を低減する。「ドライバーが発する振動をシェルに伝えないことで、輪郭がくっきりした明瞭な音を再生する」(商品企画を担当する安達徳光氏)。またシェル構造や配線にも同社がスピーカーキャビネットなどで培ったノウハウを投入し、「耳元にある高級スピーカー」に仕上げた。

「フローティング構造」の概要

 人間工学に基づいて設計されたシェルは、耳穴周辺を覆う形になる従来のカスタムIEMに比べるとスリムで有機的なデザイン。70万台以上のオーダーメイド補聴器を作ってきたシーメンスの“匠”の技を活かしたものだという。オンキヨーは、2年前からオーダーメイド補聴器のシーメンスとイヤフォンを共同開発しており、今回のカスタムIEMは今月出荷を開始するスポーツイヤフォン「In-Ear Sports Headphones」に続く第2弾となる。

オンキヨーロゴの入ったカスタムIEM。試聴機のため、ユニバーサルタイプのイヤーチップをつけている

 ユニークなのは、製品コンセプトの1つでもある「装着感」にこだわり、遮音性の異なる3タイプを用意したこと。最も遮音性が高いのは「プロ・ミュージシャン」、外の音が聞こえるように密閉度をあえて下げた「スポーツ」、その中間で通常リスニングを意識した「スタンダード」だ(それぞれの遮音性能の数値は未公開)。

遮音性の異なる3タイプを用意

 シバントスのサプライチェーンマネジメント部、大山清和部長によると、ポイントは「耳型にフィットするオフセット量」と「外耳道の長さ」。採取した耳型を3Dスキャンして作成した3Dデータに対し、場所によって厚みを足したり、引いたりするオフセットのコントロールを行うという。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.