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国内だから実現できたスゴイ製造技術――バルミューダ「GreenFan Japan」の工場に潜入した滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/3 ページ)

» 2015年06月25日 19時14分 公開
[滝田勝紀ITmedia]
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 その金型製造現場をのぞいてみると、まず驚かされたのが金型の重厚感や大きさだ。扇風機の羽根などの後ろにある直系10センチ程度の円筒形をしたモーターカバーを製造するのに、金型は縦・横・高さそれぞれ約80センチ以上はあると思われる緻密な部品の塊だった。もちろんそれは単なる塊ではなく、縦横にさまざまなパーツが外れる仕組みとなっており、それを機械的に自動で順番に抜くことで、1つのパーツが完成する。このモーターカバーの場合、成形機によって約550キログラムもの力で圧縮するという。

金型のメンテナンスは完全手作業で行われていた

金型を自社内でも作れる体制に。仮に必要なパーツを生産する際にも、金型製造からスピーディーに対応できるのも同社の強みだ

 「GreenFan Japan」では、このような精密な成形パーツが約70個も使われる。それらすべてにこのような緻密な金型が用意されているという。また、倉庫と生産エリアは有機的につながっており、生産計画に合わせて、すぐに金型が出せる仕組みをとっていたのも効率的だった。

倉庫にはたくさんの金型が使われるための出番を待っていた

 とはいえ、効率性だけを重視しているのではない点にも注目したい。実は「GreenFan Japan」の金型というのは、常に金型職人たちの手によって、1つ1つていねいにメンテナンスされている。通常製品の場合、金型というのは1万個ほど製造してからメンテナンスを行うのが普通だが、「GreenFan Japan」の場合は2000個ごと。その理由については、遠藤社長は「すべては質の高い製品を維持するため。つまり、それ以上、同じ金型を使ってしまうと、それだけ生産させるパーツの質が落ちてしまいます。高い生産レベルを維持するために必要な方法でした」と話している。

必要な分だけジャストインタイムで生産でき、その分ロスが少なく、生産コストや販売価格などにも大きく影響する

ペレットと呼ばれる原料の質にもこだわっている

 金型職人にも話を聞いた。「金型の状況は、100分の2ミリまでの誤差は視認できます。それ以下も表面に触れれば、異常があるかどうか、指先で分かります」と、熟練職人ならではのコメント。さらに生産されるパーツの元になるペレットと呼ばれる原料の質にもこだわっているという。

モーターカバーの金型は職人たちがていねいに扱う

完成したモーターカバー

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