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OPPOから間もなく登場する「BDP-105DJP」限定版、一足先に“最終試作機”をチェック!山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2015年07月29日 21時36分 公開
[山本浩司ITmedia]

 この春、可搬型ヘッドフォンアンプ、いわゆる“ポタアン”の「HA-2」と平面磁界駆動型ヘッドフォン「PM-3」を発表、その音のよさで大きな話題を呼んだ米OPPO Digital。ぼくはといえば、以前本欄でリポートした同社の据え置き型USB-DACの「HA-1」をこの春に入手し、「foober2000」をインストールしたWindowsマシンとUSB接続、主にDSDファイルの再生に用いている。デジタルファイル再生のためのメインプレーヤーであるLINNの「KLIMAX DS/2」が未だDSDファイルに対応していないためだ。11.2MHzのDSDファイルが再生できる希少な存在であるHA-1は、16万円前後とKLIMAX DS/2に比べて値段は断然安いが、DSDファイルならではと思える絹ごしの滑らかなサウンドが味わえ、大いに満足して使っている。

山本氏も愛用している据え置き型USB-DAC「HA-1」

 さて、そのOPPO製品を日本で販売しているOPPO Digital Japanから、とても興味深い告知があった。現在はティーザーサイトが開設されているが、同社のユニバーサル・プレイヤーのトップエンド機「BDP-105DJP」のリミテッド・バージョンを開発し、日本国内限定で8月中旬(見込み)に発売するという。

ティーザーサイトの画像

 BDP-105DJPといえば、この6月にも日本市場限定のファームウェアがリリースされた。それはHDMIのA/V分離出力時の高音質化を図るもので、オーディオ専用HDMI出力には映像を乗せず、黒画面を出画するという仕様変更である。

 これまでBDP-105DJPは、オーディオ専用HDMI出力からは色深度を落とした映像が出力されていたが、映像を乗せないで黒画面を出画したほうがグラウンドが安定し、音質がよくなることが知られており、国産の高級BDプレイヤー/レコーダーのほとんどは、A/V分離出力設定ではオーディオ専用出力に黒画面を送出している。OPPO Digital Japanは、その効果は明らかとの確証を得て、日本国内限定で仕様変更するように本社に掛け合ったようだ。このへんの品質向上にかけるOPPO Digital Japanの真摯(しんし)な行動力はアッパレだと思う。

こちらは現行「BDP-105DJP」

 BDP-105DJPは、アナログレコード以外すべてのハイファイ系ソースが再生できるそのユニバーサリティの高さやBlu-ray Disc再生時の画質のよさで注目を集める傑作モデル。昨年暮れに発売されたパイオニア「BDP-LX88」の好ライバル機として市場で今なお大きな注目を集めているようだ。筆者がとくに注目するのは、ESSテクノロジーの最高峰DACチップ「ES9018」を採用したその高音質設計。とくに8chアナログ出力の音のよさは出色で、その入力端子(=8chアナログ入力)を持ったプリアンプ、オルフェウス(スイス)「Classic TWO V2」とつないだ音を聴くと、いくら音がよくなったとはいえHDMIの音はまだまだという思いを抱かされてしまう。

現行「BDP-105DJP」のリアパネル。8chアナログ出力の音のよさは出色だ

 OPPO Digital Japanは、BDP-LX88が発売された昨年暮れあたりから、BDP-105DJPのいっそうの画質・音質向上の可能性を探る検討を始め、システム構成、筐体(きょうたい)構造、電子回路の大規模な設計変更なしに性能改善が図れるとの結論に達し、本社の承認を得て日本国内のみのリミテッド・バージョンの発売を決めたという。

3つの大きな仕様変更

 OPPO Digital Japanが、現行のBDP-105DJPに手を加えるべきと考えたポイントは、以下の3点。1つめが筐体内部の高周波ノイズ対策。2つめが軽量な筐体とプラスチック製の貧弱なインシュレーターに起因する制振構造の弱さ。そして3番めがオーディオ回路のクロック精度改善だ。

 まず高周波ノイズについて。同社が精査したところ、本機のメインボード用スイッチング電源やそこに載せられているプロセッサー、オーディオボードに載せられたDACチップなどから放射される高周波ノイズがそれぞれ画質・音質に悪影響を及ぼしていることが分かった。そこで、本体内の電源部、2chオーディオ基板、8chオーディオ基板、メインボードのプロセッサー群に強力な電磁波吸収素材を使用することで、内部の高周波ノイズを徹底的に抑制することにしたという。

 2つめの制振構造の強化については、まずローダーメカ部の0.8ミリ厚亜鉛メッキ鋼板製天板を非磁性体の3ミリ厚ステンレス金属加工品に変更、スイッチング電源部の鋼板カバーの上に同じく非磁性体の3ミリ厚ステンレス金属加工品を追加するとともに、3ミリ厚のアルミニウム合金製底板を追加し、左前方が重かった重量バランスをセット中心に一致させている。実際に手に持つと、ずしりと重く、オリジナル機との違いを強く実感させられる。

 また、従来の安価なプラスチック製フットをTAOC製のグラデーション鋳鉄インシュレーターに変更。不要振動の収束を速め、よりいっそうクリアーな音質の実現を目指したという。筆者自身もBDP-105DJPのフットの弱さが気になり、市販のインシュレーターをさまざま試して確実に音質向上が図れることを実感していただけに、このフット強化は大いにうなずける方策だ。3番めのオーディオ回路のクロック強化については、低位相雑音タイプのオーディオ専用水晶発振器を新たに採用し、その精度改善に注力したという。

 以上が今回のリミテッド・バージョンの概要だ。AV機器の本質を知る手練のエンジニアたちによる改良の手が加わったことがお分かりいただけたのではないかと思う。ただし、今回試聴したのはあくまでも“プロトタイプの最終仕様品”であり、量産版とは仕様が異なる可能性があることを断っておきたい。

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