今年の「IFA 2015」では、「Amazon Instant Video」の4K対応が発表されるなど映像配信サービスの充実が話題になった。またUltra HD Blu-ray Disc(UHD BD)の仕様確定後、初めての試作機展示が行われ、一方では4K対応家庭用ホームプロジェクターとして初めてHDR表示をサポートしたソニー「VPL-VW515」も登場。IFAには出展していないものの、JVCもHDR対応プロジェクターを準備中とされており、今後は4K、広色域(BT.2020)、HDRの3要素を備えた映像の流通、および対応機器が増加に向かいそうだ。
まず、UHD BDの再生環境だが、IFAに試作機を持ち込んだのはサムスンとパナソニックの2社。サムスンは展示会場で、20世紀フォックスのUHD BDソフトとともにデモンストレーションを行った。20世紀フォックスは発売日などのスケジュールこそ公表していないものの、すでに発売予定のUHD BDタイトルを発表している。ただし、年内の発売を目指して自社製LSIを新規で起こして開発を進めていたサムスンのプレイヤーは完成が遅れており、発売が来春まで延期されたようだ。
一方のパナソニックもUHD BDプレイヤーの試作機と称して展示を行っている。写真を見ると分かる通り、このUHD BD”プレイヤー”とされる機体は日本で販売されている「DMR-BZT9600」と酷似している。
商品化に関しては、「来春に向けて対応プレイヤーを米国と欧州に投入する計画」とのことで、日本市場向けについての言及はなかった。なお、DMR-BZT9600と酷似した外観は「あくまでプロトタイプとして披露したもので、実際の製品がこの形で出るわけではない」とも話していた。
試作機の筐体から考えても、日本市場向けには“高級UHD BDレコーダー”として投入されるとみられるが、日本市場向けのレコーダーを年末に投入しないとは考えにくい。年末のUHD BDソフトラインアップを考慮しての商品展開だろう。
前述のようにサムスン製プレイヤーが来春に延びたことで、UHD BDに対応できる商品はパナソニック製だけになってしまう。1製品しかプレイヤーがないようでは、ソフト発売を伴うローンチができない可能性がある。このため”来春までに発売”と幅を持たせているのだろう。
しかしレコーダーとしても使える商品であれば、必ずしもUHD BDソフトがなくとも成立する。おそらく秋の新製品には、日本市場先行でUHD BD再生に対応するBDレコーダーが投入されるだろう。
その場合、市販ソフトが来年までそろわない可能性もあるため(20世紀フォックスは年内のUHD BDソフト投入をあきらめたようだ)、対応ソフトがいくつかバンドルされることになると思われる。
このパナソニック製UHD BDプレイヤー(日本ではレコーダー)は、すでにネットでの配信が始まっている4K映像再生にも対応していく。パナソニックの担当者は「BDレコーダーもプレイヤーも、今は映像配信サービスや写真共有サービスなどさまざまな機能を備えるメディアセンターとして機能するようになってきました。日本向けのレコーダーには家庭内でハイレゾ音楽の共有を行うDLNAサーバ機能も備えています。そうした意味では、映像ソフトとしてはUHD BDから映像配信、音楽まで、幅広いメディアを最高品位で楽しんでもらうことを目指しています」と話した。
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