　「10WP1」の操作は、付属のリモコンか、画面下にあるタッチセンサーで行う。「Touch Menu」に触れると操作部が白く点灯し、画面の最下部に操作メニューが並ぶ。最初は画面がタッチパネルになっていないことを残念に思ったが、よく考えるとタブレットのようにアプリを操作するわけではない。画面に水滴をつけて見にくくなってしまうより、こちらのほうがいいだろう。

タッチセンサーの操作部。濡れた手で操作しても問題ない

背面のインタフェース類は防水のためにカバーされている。USB端子、SDカードスロット、外部アンテナ接続端子などが並ぶ

背面のアンテナを伸ばしたところ

　本体には地上デジタル放送チューナーが内蔵されており、背面のロッドアンテナを伸ばして単体でテレビを視聴できる。電波状況が悪い場合は自動的にワンセグ放送に切り替える機能もあり、停電時や災害発生時の情報収集などにも役立ちそうだ。また背面にはアンテナ端子も備えていて、家の中のアンテナ線に接続すれば、より安定してテレビを受信できる。テレビ視聴時のバッテリー駆動時間は3時間程度だ。

　ただ、わが家は電波状況が悪く、内蔵チューナーでフルセグを受信できたのはNHKのみ。ほかの局はワンセグ画質になってしまった。でも慌てる必要はない。内蔵チューナーなど、今の時代ではテレビを見る手段の1つにすぎないのだ。

　「10WP1」は、「レグザリンク・シェア」に対応していて、DLNA/DTCP-IPのクライアントとして動作する。家の中にレグザやBlu-ray Discレコーダーがあれば、テレビ番組を無線LAN経由で見ることができる。内蔵チューナーよりも受信状況は確実に安定しているうえ、録画した番組も視聴できる。

スタートメニュー。「ホームネットワーク」からDLNAサーバにアクセスする

　ホームネットワーク内には、DLNAサーバとして、液晶テレビのレグザ「50Z20X」、Blu-ray Discレコーダーのソニー「BDZ-AT970T」（2011年製）、パナソニック「DMR-BW950」（2009年製）が稼働している。「10WP1」のスタートメニューから「ホームネットワーク」を起動すると、3機種すべてがリストアップされ、録画番組を再生することができた。

　また「BDZ-AT970T」のライブチューナー機能を使って放送中の番組をリアルタイムで視聴することも可能だった。「10WP1」にはBSデジタルやCS110度のチューナーは搭載されていないのに、ネットワーク連携で簡単に機能を追加できるのだから、最近のテレビは便利だ。

DLNAの複雑な事情

　ソニーの「ルームリンク」、パナソニックの「お部屋ジャンプリンク」、シャープの「ホームネットワーク」、そして東芝「レグザリンク・シェア」……メーカーごとに呼び名は違っても、ベースにあるのはDLNA（Digital Living Network Alliance）という業界団体が策定した統一規格だ。DLNAは、対応機器同士がネットワークを介して映像や音声を共有するための技術を規定したもので、このDLNAと「DTCP-IP」と呼ばれる著作権保護技術の2つに対応した製品同士なら、デジタル放送の番組もネットワークを介して伝送・視聴することができる。

　もっとも、ベースは同じ技術でもメーカー各社がそれぞれに拡張を行っているため、メーカーを問わずに使える部分と、同じメーカーの製品同士じゃないと使えない機能がある。現状では「録画番組の情報を取得し、選んだ番組を再生する」といった基本機能はメーカーをまたいでも使えるが、レコーダー独自のフォルダ表示や新着（未視聴）アイコン、CMスキップといった機能は使えないことが多い。

　さらにDLNAは、最初の規格ができた後も製品と技術の進化が続いているため、同じメーカーの製品でも発売された時期によって機能差が生じている。例えば、MPEG-4デコーダーを搭載していない古いテレビでは、新しいレコーダーの長時間モードで録画した番組を視聴することができず（DR/TSモードで録画すれば可能）。リアルタイムの放送中番組を転送する機能も対応しているレコーダー（サーバ）とプレーヤー（クライアント）が両方そろえないと使えない。

　カタログ通りの機能を期待するなら、今回のレグザ「50Z20X」と「10WP1」のように、同一メーカーの新製品でシステムを組むのが早道だ。なにより、各社ともほかのメーカー製品と組み合わせた場合の挙動に関しては、何も保証していない。