発展途上国の暮らしは先進国のそれとは違う。無電化地域もまだ多く、そうした場所に暮らす人々は、そもそも家電に頼れない生活を送っている。そんな途上国の人々の「生活の向上」と「自立」を目指し、革新的なテクノロジーを現地の人々へ届けるプロジェクト「コペルニク」の活動に参画するため提供されたのが、バイクの荷台に設置できる円筒形の小型冷蔵庫だ。
例えばインドネシアの地方の無電化地域には、毎朝魚を捕り、街までバイクの荷台に載せて、売りに行くことで生計を立てる、多くの行商人がいる。彼らにとって大きな問題が、捕った魚を常温で保存するため、だんだんと鮮度が落ちて行くこと。熱帯地域でもあるので、魚を売り切る夕方くらいになるとかなり傷んでしまい、当然相場では売れず、二束三文で投げ売り状態になってしまうというのだ。
こういった問題を解決するため、三菱はバイクの後ろに設置できる円筒形の冷蔵庫を開発した。入れ物自体は、断熱材で包み込んだ保管庫であり、フタの部分にすべての冷却システムを封入。元々バイクの後ろにくくり付けられている行商用のカゴにしっかり設置できるため、路面の悪いところを走っても脱落することはないという。電源自体はバイクのバッテリーとつなぐことで確保。これにより、魚が傷んでしまうという問題が解消され、結果的に複数人に使ってもらった結果、それぞれの収入が平均1.5倍にまで増えたとのことだ。
さらに、バイクから降ろして自宅でも冷蔵庫として使えるよう、家にソーラーパネルを設置。仕事だけでなく、生活自体の快適性にもつなげた。困窮する人々があふれる途上国にこそ、日本企業が解決すべきニーズがあることを、デザインや技術で応えた好例だ。
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