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クラウド連携が提供する“新しい価値”とは?――「ダイソン ピュアクールリンク」の狙い(1/3 ページ)

» 2016年03月30日 08時00分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ダイソンが4月下旬に発売する「Dyson Pure Cool Link」(ダイソン ピュアクールリンク)は、無線LANでインターネットに接続し、同社のクラウドサービスと連携する空気清浄機能付き扇風機だ。スマートフォンで空気の状態を確認し、リモート操作も可能だが、単なるリモコンではないという。開発者の1人、英Dyson研究デザイン開発デザインリードのHugo Wilson(ヒューゴ・ウィルソン)氏に詳しい話を聞いた。

英Dyson研究デザイン開発デザインリードのHugo Wilson(ヒューゴ・ウィルソン)氏

 まず、「Dyson Pure Cool Link」の概要と従来機との違いについて聞いた。独自のエアマルチプライアー技術を活用した“羽根のない扇風機”に「Dyson 360°グラスHEPAフィルター」を搭載し、PM0.1レベルの超微小粒子状物質を99.95%捉えるという空気清浄機能は従来機と同じ。夏は扇風機や空気清浄機として、そのほかの季節はサーキュレーターや空気清浄機として利用できる「一年中、活躍する扇風機」となっている。なお、新たに加わったテーブルファンはチルト機能付きで、「ループ部の向きを上下に動かせるため、サーキュレーターとしても便利に使える」(ウィルソン氏)という。

「Dyson Pure Cool Link」のタワーファン。「ホワイト/シルバー」「アイアン/ブルー」の2色展開だ。サイズは196(幅)×1018(高さ)×196(奥行き)mm、重量は3.7kg
テーブルファンにも「ホワイト/シルバー」「アイアン/ブルー」の2色がある。サイズは355(幅)×616(高さ)×220(奥行き)mm、重量は3.03kg
「Dyson 360°グラスHEPAフィルター」には変更があった。前回は交換時に外装ごと取り替える仕様だったが、今回は内側のフィルターだけでいい。交換用フィルターの参考価格は、タワーファン、テーブルファンともに6000円(税別)

 ハードウェア面で新しいのは、2.4GHz帯に対応するWi-Fiを内蔵し、筐体内や背面に各種センサーを搭載したこと。「センサー技術やWi-Fiの搭載は新しいチャレンジで、2年間をかけて開発しました。見た目はDyson Pure Coolと似ていますが、まったく新しい一歩と言えます」(同氏)。

 背面のカバーを開けると、ニオイ分子な揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)を検知するセンサーと、ホコリなど微粒子の濃度を光学的に測定するセンサーを搭載している。またボディー内部には室内の温度や湿度を計測するセンサーも装備。あえて内部にセンサーを入れたのは、扇風機自体が発する熱の影響を避けて吸気口から取り込んだ空気を計測するためだ。

VOCセンサーとホコリセンサーが並ぶ

 センサーで得た情報は、専用アプリ(iOS/Android用)でリアルタイムに確認できる。アプリ画面には家の形が描かれ、その外側は外気、内側は屋内の空気の状態を示す。空気がきれいなら家の中はグリーンになるが、「やや汚れている」と黄色、「汚れている」はオレンジ、「とても汚れている」と赤くなる仕組み。4段階で空気の汚れ具合が分かる。一方、外気については空気の質を調査・分析しているBreezoMeterとの提携により、地域ごとのデータをクラウド経由で取得する。東京なら市区単位の天気、温度、湿度、PM 2.5濃度が一目で分かる。

家の外側は外気、内側は屋内の空気の状態を示す
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