ITmedia NEWS >

世界初公開! ダイソンの空調製品研究施設を見てきた技術革新の現場に潜入(2/3 ページ)

» 2016年04月13日 11時30分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

空気清浄機能のフィルター性能を検証する「CADR Smoke Test」

 次は、HEPAフィルターなどの性能を検証する「CADR Smoke Test」のテストルーム。CADR(Crean Air Delivery Rate)というのは、米国のAHAM(Association of Home Appliance Manufacturers:米国家電製品協会)が定めた空気清浄機の性能指標。1分間できれいな空気をどれだけ供給できるかを数値化したもので、数字が大きければ大きいほど、その空気清浄機が広い部屋に対応できることを示す。日本語では「クリーンエア供給率」と呼ばれている。

CADRテストルームの容積は、28.53m。微粒子を発生させる装置と、その粒子濃度を測定する機器が設置されている

 CADRでは、タバコの煙、ホコリ、花粉という3つについて、専用の測定機器で粒子濃度を測定することになっているが、今回はそのうちタバコの煙を検証する現場を見ることができた。室内は壁や天井をすべて金属で覆い、室内には測定機のほかに微粒子を自動的に発生させる装置が設けられている。室内に入ることはできなかったが、中で実際に数本のタバコを燃焼させ、煙の粒子濃度を検証していた。

タバコを自動燃焼中
検証結果のイメージ

 なお、ダイソンの空気清浄機能付きファンははPM 0.1サイズ(0.1μm)の超微粒子を99.97%除去するとしているが、その検証はお隣のマレーシアにある研究施設で行っているそうだ。

有害物質の除去性能を検証する「VOC Test Cube」

 CADRで計測する粒子のほかにも室内には有害な物質が漂っている。その代表格が、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)と呼ばれるもの。塗料や接着剤などに含まれるトルエン、キシレン、酢酸エチルなどのほか、アセトアルデヒド、アンモニアなども有名だ。前者は大気中で光化学スモッグの原因になり、後者は建材や家具、衣服などから揮発してシックハウス症候群などを引き起こす原因とされている。

VOC Test Cube
入口には分かりやすく注意を喚起するマーク

 VOCテストルームには、ガラスで囲まれた小さな部屋(VOC Test Cube)が複数設置されている。小部屋の側面に設けられた窓から専用の検査用具「ガススティックチューブ」を突っ込み、空気清浄機能付きファンのHEPAフィルターや活性炭フィルターが持つVOC除去性能を測定する。小部屋は2つあるため、競合製品などとVOC除去性能を横並びで比較することもできる。

VOCの濃度を検証するテスト用器具「ガススティックチューブ」。理科の実験で使ったリトマス試験紙のように、特定の物質濃度を色の変化で教えてくれる。左からアセトアルデヒド用、酸性ガス用、アンモニア用

 この「ガススティックチューブ」、実は1本10ドル(米ドル)もする高価なものだが、ここでは1回の検証で約60本を消費するそうだ。なお、現在はフィルターの寿命を延ばす研究を進めているという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.