技術革新の現場に潜入
世界初公開! ダイソンの空調製品研究施設を見てきた(1/3 ページ)
革新的な製品が生み出すには、アイデアやひらめきだけでは不十分だ。理論を検証し、実験で効果を確認しながら試作品を作る。ブラッシュアップを繰り返し、ようやく製品ができ上がったとしても、今度はユーザーのフィードバックを元に再び実験と検証を繰り返す。一見、遠回りに見える地道な作業の積み重ねこそが、問題解決に至る近道のようだ。
英Dyson(ダイソン)は、同社の代名詞となったサイクロン掃除機をはじめ、“羽根のない扇風機”というフレーズで知られる「Air Multiplier」(エアマルチプライアー)技術など、多くの革新的な製品を送り出してきたが、それは偶然ではない。“global technology company”を標榜する同社はエンジニアの育成に力を入れる一方、毎週500万ポンド(約9億円)を研究開発に投資している。年間予算ではなく、1週間で研究開発だけに費やす金額が9億円なのだ(大事なことなので2回書きました)。
では、実際の研究開発はどのように行われているのか。その一端を知るため、今回はシンガポールのアレクサンドラ・テクノパーク内にあるDyson Operations Pte.Ltd,(DOPL)の研究施設を訪ねた。ここでは、主に空調製品の開発および製造技術の研究を行っている。案内してくれたのは、流体力学の専門家・James Evon D'Souza氏と、音響と振動を担当するエンジニアのJean-Baptiste Blanc氏だ。ちなみに、この施設の奥まで報道関係者が立ち入るのは初めてだという。
扇風機などの駆動音を研究する「Acoustic Test Chamber」
最初に案内されたのは、Blanc氏がよく使用するという「Acoustic Test Chamber」だ。大きな吸音材の突起で壁や天井が覆われているが、床だけはコンクリートになっている、いわゆる半無響室だ。完全防音の上、会話の声も発した途端に壁に吸収されるような印象を受ける、静かな空間だった。
Blanc氏によると、床まで吸音材で覆われた完全な無響室もあるそうだが、人が入るときは床に専用のグリル(網状の橋)を置く必要があるなど扱いが大変。また騒音計測の世界基準でも半無響室を使用するため、今回はこの部屋を紹介したという。
部屋の中央には最新の空気清浄機能付き扇風機「Dyson Pure Cool Link」が置かれ、製品を中心にちょうど半球形になる形で10個のマイクが配置されている。ここでは主に空調製品の駆動音をチェックし、騒音を抑える技術や発生する音が、人にとって不快にならないように調整する技術などを研究している。同社の「Air Multiplier(エアマルチプライアー)テクノロジー」を搭載した扇風機やヒーターは、新製品が出るたびに新しい静音化技術を採用しており、この部屋が大活躍していることがうかがえる。
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