NTTドコモが2016−2017年冬春商戦向けの新機種や新サービスを発表した。ラインアップ中、ハイレゾ音源再生に対応しているのは「V20 PRO L-01J」「arrows NX F-01J」「Xperia XZ SO-01J」「Xperia X Compact SO-02J」「MONO MO-01J」の5機種で、うち3機種はPCM変換ながらもDSD再生までサポートした(下表参照)。このようにAndroidスマートフォンの多くがハイレゾ音源再生に対応している現在、端末メーカー各社は“次の一手”を打ち出している。
型番 | PCM | DSD |
---|---|---|
V20 PRO L-01J | 384kHz/32bit | 5.6MHz(※) |
arrows NX F-01J | 192kHz/24bit | 非対応 |
Xperia XZ SO-01J | 192kHz/24bit | 2.8MHz(※) |
Xperia X Compact SO-02J | 192kHz/24bit | 2.8MHz(※) |
MONO MO-01J | 192kHz/24bit | 非対応 |
※PCM変換
「V20 PRO L-01J」は、スマートフォンでは世界初となる“Quad-DAC”(DAC:digital Analog Converter)を搭載したモデルだ。といってもDACチップを4基も搭載しているわけではない。Quad-DACは、米ESS Technologyの統合チップ「ES9218」に内蔵された4つのDAC機能のことで、同チップの愛称にもなっている。上記の通り、ハイレゾ再生能力では頭ひとつリードしている印象だ。
通常、複数のDACを搭載するのはAVアンプなどで出力チャンネル数を増やしたいケースが多い。しかし、今回の場合、Quad-DAC搭載の主目的は別のところにあった。
「4つのDACを使ってL/Rチャンネルそれぞれ処理すると4倍のアナログ信号を得ることになる。一方で音声信号に含まれるノイズは逆位相のため4倍にはならない。このため、通常のアナログ信号レベルに戻すと相対的にノイズが小さくなる」(説明員)。つまりノイズ低減が主目的。具体的にはホワイトノイズとひずみが低減し、S/Nの向上が期待できるという。
もう1つのメリットは、ハイレゾ音源のみならず、ES9218を通るすべての音声信号でノイズが低減すること。ドコモの発表会場では、「CDからリッピングした音源なども良い音で聴くことができる」として、CDプレーヤーを並べて比較試聴を行っていた。「ハイレゾ再生では新しく音源を購入しなければならないが、家にあるCDをはじめ、Youtubeなども音質向上が期待できるのがQuad DACのメリット。より多くのシーンで活用できる」としている。
またV20 PROではデンマークの高級オーディオブランド「B&O」(バング&オルフセン)と協業し、B&Oのエンジニアとサウンドマスターが音質チューニングを手がけた。パッケージにはB&Oのカジュアルライン「B&O Play」ブランドのイヤフォンも付属する。ただし、このイヤフォンはハイレゾ再生には対応していない(聴くことはできるが、ハイレゾ本来のクオリティーではない)。
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