ヘッドフォン祭の会場を歩いていると、ローランドブースにv-modaブランドのヘッドフォンが置いてあることに気付いた。2016年8月にv-modaのグループ化を発表したローランドだが、直接話を聞ける良い機会なのでブースで案内をしていた同社営業部の重石卓哉氏に色々聞いてみると、想像以上にドラマチックな話が潜んでいた。
――まず、今回の提携に至った経緯を教えてください
重石氏:報道向けにv-modaのグループ化を発表したのは今年の8月で、正式にグループ企業に入ったのはこの9月からです。経緯としては、当社が持っているAIRAブランドとv-modaのコラボレーションモデル「M100 AIRA」を作った2015年の上期あたりから話が持ち上がりました。
――他に深い関係があったという話はあまり聞いた覚えはないですが、1つのコラボレーションモデルが資本提携にまで発展したのですか?
重石氏:普通の会社ではあまり考えられない発展の仕方ですよね(笑)。それがローランドという会社の社風なんですよ。最初はAIRAブランドの担当チームが自社ブランドに合うモニターヘッドフォンを探すため、ヘッドフォンショップで丸一日くらいかけて1つ1つ音を聴き、その結果最も印象が良かったのがv-modaの「Crossfade M-100」だったんです。音のマッチングがコラボモデルへ、さらには出資関係にまで発展した訳ですが、正直言って当初の段階ではここまでの関係に発展するとは誰も思っていませんでした(笑)。
――ローランドの東京オフィスは秋葉原駅から川向こうにありますから、選定作業の様子がだいたい目に浮かびます(笑)。しかし奇跡のような出会いですが、さすがに資本提携まで発展するとはにわかに信じがたいですね
重石氏:内情はいろいろとありますが、当社ではここ1〜2年ほど、AIRAブランドを中心にDJ市場を注視しており、そのベクトルがv-modaとちょうど重なるなどといういろいろな細い線が絡まった結果、この夏に出資が決定しました。
――「そもそも何でDJなの?」という疑問も浮かんできます
重石氏:AIRAブランドの話でもありましたが、新規事業展開にあたってリサーチをかけたところ、どうやらDJさんの中にローランドの製品を使っている人が居るぞということが分かってきたんです。ですが当社は電子楽器メーカーとして、ライブパフォーマンスや楽曲制作に使用するシンセサイザーなどの各電子楽器やDAW、それに関連する製品を取り扱っており、DJというのはローランドにないジャンルでした。検討を重ねた結果、従来のノウハウが生かせるDJ製品は、当社の新規事業にうってつけという判断が下り、ローランド内にAIRAブランドを作ることで新ジャンルに挑戦したのです。DJ分野へ真剣に取り組むという流れの中で、先月にはDJソフトウェアメーカーの大手Seratoと共同開発したDJコントローラー「DJ-808」といった製品もリリースしました。
――なるほど、確かに電子楽器やDAWはDJ機材につながる技術が多数あります。「DJのローランド・AIRA」になるための取り組みはすでに大きく動いているということですね
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