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縦位置チルト対応背面モニターを絶賛したい、富士フイルムの「X-T2」(1/3 ページ)

» 2016年10月29日 06時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
一眼レフ風スタイルのX-T2。レンズはキットレンズの18-55mmF2.8-4.0。手ブレ補正付き
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 富士フイルムの「Xシリーズ」といえば、趣味性が高いカメラ好きのためのハイエンドミラーレス一眼、と思われてると思うし、間違ってはいない。そのXシリーズにはフラッグシップ機が2種類ある。「X-Proシリーズ」と「X-Tシリーズ」である。

 2016年初頭に「X-Pro2」、その秋に「X-T2」と立て続けに出た。ユーザーはフラットな状態でどちらか選べるようになったのである。良いことである。基本性能は変わらないし。

 一言でいえば、基本性能は変わらないものの、趣味と道楽のミラーレス一眼がX-Pro2、趣味と実用のミラーレス一眼がX-T2だ。X-Pro2はレンジファインダースタイルで光学ファインダーとEVFと両者のハイブリッドという3パターンを使い分けられるのがウリ。ファインダーを覗き、カチカチとダイヤルを回しながら撮りたい人向き。

 X-T2は一眼レフスタイルのミラーレス一眼。大きくて見やすいEVFとチルト式モニターでファインダーでも背面モニターでも自由に使い分けられる。富士フイルムならではの画質やダイヤルを使った伝統的な操作を味わいつつ、デジタルカメラとしての実用性を求めるならX-T2だ。

 そのX-T2であるが、X-T1に比べると見た目はあまり変わらないが、使い勝手とAF性能が格段にアップした。これは要注目である。中でも、AF測距点の移動が専用のレバーで行えること、コンティニアスAF時のAF追従性能が格段にアップして動体に強くなったこと、そしてチルト式モニターながら縦位置ローアングル撮影にも対応したことの3点は特筆すべきである。

よりプロ仕様に進化したX-T2

 見た目の通り、ファインダー部が上に飛び出た一眼レフスタイルのミラーレス機である。

正面から

 特徴的なのは、撮影時に必要な各設定それぞれにダイヤルが用意されていること。上面にはISO感度・シャッタースピード・露出補正。絞り値はレンズの絞り環で。

上面から。レンズには絞り環。左側にISO感度。右にシャッタースピードと露出補正。撮影モードダイヤルはなく、全部を「A」にセットするとプログラムオートになるという仕組み

 ISO感度ダイヤルの下にはドライブモード(特殊効果モードもここにある)。シャッタースピードダイヤルの下には測光モード。

シャッタースピードダイヤルの下に測光モードダイヤルがある
ISO感度ダイヤルの下にはドライブモード。ISO感度ダイヤルとシャッタースピードダイヤルは軽くて不用意に回ってしまうが、中央のボタンでロックすればOK

 最近のミラーレス機は専用の動画用録画ボタンを設けるのが主流だが、X-T2はそれを持たず、ドライブモードで動画モードにしたとき撮影される。残るはフォーカス関連。AF-S・AF-C・MFの切替レバーはボディ前面に。

 AF測距点のセレクターは、X-T1では背面の十字キーが兼ねていて不評だった(位置が低いのでとっさに押しづらい。ボタンが浅くて押しづらいなど)が、X-Pro2と同様専用のセレクトレバーを付けたことで解決した。

背面のフォーカスレバー。これを倒すと測距点をダイレクトに動かせる。このレバーをプッシュすると測距点を中央に戻したり、AFエリアサイズを変更することも

 あとはもう豊富なファンクションキーを組み合わせて自在にやってくれという感じ。

正面から。正面にも電子ダイヤル。さらにその右下にFnボタンがある
Fnボタンは豊富にあるので、自由にカスタマイズ可能だ

 そういう意味では自分に最適なセッティングを見つけるまで時間はかかりそうだが、それがまた楽しいのである。

 シャッタースピードはシャッタースピードダイヤルの刻印にあるよう1/8000秒だが、電子シャッターを使えば1/32000秒まで上げられる。シャッターを「MS+ES」モードにし、1/8000秒に合わせてあとは電子ダイヤルを回して刻印にはない速度を選べるという寸法だ。

 ISO感度は最高でISO51200。ISO感度設定ダイヤルはISO12800までだが、その上の「H」にISO25600かISO51200を割り当てることができる。高感度時の絵は輝度ノイズを無理につぶさずディテールを残していてなかなか良い。

 連写速度は電子シャッター時に約秒14コマと高速。メカシャッター時は約秒8コマ。イメージセンサーはAPS-CサイズのX-TRANS CMOSで2430万画素。像面位相差AFセンサー内蔵。手ブレ補正はレンズ依存だ。像面位相差エリアはX-T1より広くなった。

 構えてみるとグリップがやや浅いが、深いグリップでしっかり握りたい人には別売りグリップが用意されている。また「縦位置パワーブースターグリップ」はバッテリーを追加で内蔵でき、縦位置シャッターがつくほか、ブーストモードで連写速度が上がり、タイムラグも短くなる。スポーツを本格的に撮りたい人向きだ。

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