なんとなく身体の不調を覚えるものの、その原因がはっきり分からない。もしくは思い当たる節はいくつかあるが、具体的にどう対処してよいか分からないといった経験は誰しもあるはず。
米クラウドファンディングサイト「Indiegogo」に登場した「One X」というボール型のヘルストラッカーは、約20秒間握るだけで身体の状態をスキャンしてさまざまなアドバイスをくれるとうたう。
人間は生きていく上で酸素が必要だが、取り込んだ酸素の一部は他の分子と結合して活性酸素となり、この活性酸素が過剰に反応することで老化や生活習慣病(=身体の酸化)が引き起こされると考えられている。
その身体の酸化に抵抗する物質が「抗酸化物質」。この抗酸化物質を構成する主な物質として、強力な抗酸化力を持つ「カロテノイド」がある。
カロテノイドは栄養、睡眠、運動、ストレス、アルコール、汚染や太陽にどれだけさらされているかなど、さまざまなファクターによって変化する。このカロテノイドを主とした肌の抗酸化物質の変化を計測することで、日々のライフスタイルが身体にどのような影響を及ぼすのかを知ることができる。
One Xの使い方は、デバイスの上部にある指紋センサーをタッチして本体をアクティベートさせた後、スキャナー部分を手のひらで覆うようにOne Xを握り、LEDインジケーターがスキャン完了を知らせてくれるまでの約20秒間持ってるだけ。なお、指紋センサーがユーザーを識別してくれるので、上限5人まで使用可能だ。
スキャンしたデータは、Bluetooth経由で自動的に専用アプリに転送される。上述したファクター、睡眠やストレス、アルコールの摂取量や運動が足りているかなどを細かく教えてくれ、ユーザーは実生活に生かすことができる。
また、一目で自分の抗酸化物質の推移が分かるグラフや、他のユーザーと比較できるモードなど、ユーザーフレンドリーなインタフェースも魅力の1つだ。
さらに、カロテノイドが身体にどれだけ吸収されているかを踏まえた上で、例えばカロテノイドの他にも強い抗酸化力をもつケールや、ミネラルやセレンを豊富に含むブラジリアンナッツ、またビタミンを摂るためにブロッコリーを食事に追加しようといった具合に、「なんとなく」ではなく本当に身体にいい食事のメニューを提案してくれる。
ユニークなのが、「One X Eye Food Tracking System」という機能。One Xのアプリで食事の写真を撮るだけで、その内容を認識して自動で記録してくれる。日々の食事を手入力で記録するアプリはすでに多数存在するが、食事毎に記録をするのは意外と面倒で忘れがちなため助かる。
One Xは人間工学に基づいて設計されているため握りやすく、シンプルなフォルムからインテリアを邪魔することもない。また、大きさは野球のボールくらいで、重さは120gと持ち運びも容易だ。リチウムイオンバッテリーで稼働し、microUSB経由で充電する。専用アプリはiOSとAndroidに対応している。
One Xは11月末の時点で、目標金額の187%に当たる9万6160USドル(約1000万円)を調達している。InstagramやFacebookの公式アカウントでも、機能はもちろんスタイリッシュなフォルムも好評で、早くも人気となっている。現在アーリーバード予約を受け付けており、定価が249USドルのところを149USドルで購入することができる。発送は2017年3月に予定で日本からも購入可能だ。
心臓病やがん、神経系の病気は今や日本人の死亡原因の半数以上を占めるといわれる。一方、カロテノイドの多寡は、こうした病気や糖尿病などのメタボリックシンドロームのリスクを下げるという知見がある。また、カロテノイドの抗酸化作用が肌の老化予防に効くという研究もある。一日20秒間握るだけで身体を分析してくれるこのデバイスが、より健康な生活へ導いてくれるだろう。
執筆:橋本沙織
編集:岡徳之
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