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東芝が初の4K有機ELテレビ「X910」シリーズを発表――あの「KURO」と同じ映像モードを搭載(1/2 ページ)

» 2017年01月11日 11時00分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 東芝映像ソリューションは1月11日、薄型テレビのフラグシップモデル2シリーズを発表した。液晶テレビの「Z810X」シリーズ、および同社初となる有機ELテレビの「X910」シリーズだ。米ラスベガスで開催された「CES 2017」では、パナソニックとソニーが国内販売を視野に入れた大画面有機ELテレビを披露しているが、国内発表は東芝が先行した形になる。

有機ELテレビの「X910」シリーズ

 有機ELテレビは3月上旬に発売予定で、価格はすべてオープンプライス。店頭では55V型「55X910」が70万円前後、65V型「65X910」は90万円前後になる見込みだ(いずれも税別)。シリーズ名の頭につく“X”は、初代“CELL REGZA”「55X1」などと同様、東芝にとってエポックメイキングな製品の象徴だ。レグザの商品企画を担当する東芝の本村裕史氏は、「真実の“黒”を求めて辿り着いたのが4K有機ELレグザだ。純度の高い濃密な黒が、より深く映像世界へ没入させる」と胸をはった。

 一方の液晶テレビフラグシップモデル「Z810X」シリーズは3サイズ。65V型「65Z810X」(63万円前後)、58V型「58Z810X」(42万円前後)、50V型「50Z810X」(35万円前後)をそろえ、2月上旬に発売する予定だ。

液晶テレビフラグシップモデル「Z810X」シリーズ。後述の「美肌リアライザー」を全面に出し、「素肌美人レグザ」をうたう

画面の前にスタンドの足が出ないデザイン

「55X910」。画面と同一面で形成されたアルミ製の「フラッシュフロントスタンド」が特徴。高さは25mm

 X910シリーズは、画面とスタンドが同一面で形成された、すっきりとしたデザインが目をひく。通常の薄型テレビは地震などの“揺れ”対策のため、画面の前方にもスタンドの足を出しているのが一般的だが、Z810Xシリーズの「フラッシュフロントスタンド」は背面に“重り”を兼ねたスタンドが張り出している代わりに「スクリーンだけが際立つシンプルなフロントシェイプ」(同社)を実現した。また従来のスタンドに比べてAVラックなどに接触する面積は増えているため、「防振マットなどが使いやすいというメリットもある」(同社)という。

ディスプレイ上部の厚さは6.5mm
背面

 そのスタンドの両サイドには、下向きにツイーターとフルレンジスピーカーを配置。2Wayのスピーカーシステムを総合出力46Wのマルチアンプで駆動することで広いダイナミックレンジを実現したという。また「Z20X」シリーズなどと同様に別売の「レグザオーディオシステム」と連携する機能もある。

HDMI入力は4系統。4K/60p入力に対応する(3840×2160/60p 4:4:4、4096×2160/30p 4:4:4)

 もちろん全録機能「タイムシフトマシン」とクラウドサービスを組み合わせて好みの番組や動画配信サービスにアクセスできる「みるコレ」など、これまで培ってきたスマートテレビとしての機能も搭載している。

有機ELパネルならではの漆黒表現と高いコントラスト

 有機ELパネルならではの“漆黒表現”と高いコントラスト、広い色域といった特徴を生かすため、専用に新開発した映像エンジン「OLED レグザエンジン Beauty PRO」を初めとする多彩な高画質技術を投入した。HDRはUltra HD Blu-rayなどに採用されているHDR10と4K放送やIP放送に使われるHybrid Log-Gamma(HLG)をサポートした。

熟成超解像の概要

 まず2回の超解像処理とノイズリダクションをそれぞれ2回行い、ノイズを抑えながら高精細な映像を再現する「熟成超解像」や、前後5フレームを参照して最適なフレームから超解像処理を行う「アダプティブフレーム超解像」で解像感をアップ。階調性については、暗部や明部の階調に効く「ローカルコントラスト復元」やAI(人工知能)技術を使って通常のSDR映像をHDRライクな高コントラスト映像にする「AI機械学習HDR復元」がトピックだ。これまでに映像素材から得たパラメータから機械学習によって復元テーブルを作成し、HDR化以前の映像でも高コントラストな映像に再現するというもの。機械学習によってテーブルの誤差が減る仕掛けだ。

 色域はDCI P3を98〜99%カバー。64色軸の色空間処理で自然な色彩を再現する「広色域復元プロ」に加え、「美肌リアライザー」の効果が大きい。美肌リアライザーは、肌のハイライト部分など白トビしがちな部分の色飽和を抑え、質感と立体感のある階調表現を可能にするというもの。例えば相撲中継映のように上からの強いライトがあたる力士の肌でもしっかりと肌の質感を表現できるという。「輝度が100%を超えるところにまで色が入っているとき、従来のテレビでは肩の上側がとんでしまい、黄色にシフトしてしまう。しかし今回はしっかりと肌の質感を再現できる」(映像システム技術を担当する住吉肇氏)

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